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第87期(2009年度)流体工学部門 一般表彰(貢献表彰)

飯田 明由 (豊橋技術科学大学)
井上 吉弘 (岐阜大学)
松村 昌典 (北見工業大学)
望月 信介 (山口大学)

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一般表彰(貢献表彰)


飯田 明由 (豊橋技術科学大学)

受賞理由:

 EFD(実験流体力学)ワークショップを10 回にわたり企画・実施し,実験流体力学に関する有用な情報を若手の研究者・技術者に提供して,実験流体力学の今後の発展に貢献した.

受賞のコメント:

 EFDワークショップの委員として10回のワークショップを企画,運営してまいりましたが,このワークショップの成功はボランティアで参加していただいた講師の先生方,活発なご議論を行ってくれた参加者のご協力によるものであり,私自身大変勉強になりました.自分自身が勉強し,楽しむことができたワークショップを通じて,このたび貢献表彰を授かることになりました.とても光栄なことであり,ご推薦いただいた方々ならびに関係各位に心よりお礼申し上げます.

EFDワークショップは私達で三代目になります.自分自身のことを振り返ってみると,初代ワークショップは聴講者として,二代目ワークショップのころはワークショップに参加して意見を述べたり,講演させていただきました.EFDワークショップを通じて実験手法や研究手法を勉強させていたきました.さて,「売り家と唐様で書く三代目」ではないですが,自分がワークショップを企画することになると,私達の代で内容が落ちたりしないか不安もありましたが,毎回講師の先生方に助けられながらワークショップを進めることができました.途中の反省会では新しい技術を追いかけすぎて本質を見失っているのではないかとのご指摘もありましたが,多くの方に支えられてワークショップを続けることができました.ご協力いただいた講師の先生方,議論を盛り上げてくださった参加者の皆様に,この場をお借りし厚く御礼申し上げます.

若いメンバーによって第4期EFDワークショップも始まりました.引き続き多くの方々に参加していただきければと思います.今後ともよろしくお願い申し上げます.

一般表彰(貢献表彰)


井上 吉弘 (岐阜大学)

受賞理由:

  EFD(実験流体力学)ワークショップを10 回にわたり企画・実施し,実験流体力学に関する有用な情報を若手の研究者・技術者に提供して,実験流体力学の今後の発展に貢献した.

受賞のコメント:

一般表彰(貢献表彰)


松村 昌典 (北見工業大学)

受賞理由:

 EFD(実験流体力学)ワークショップを10 回にわたり企画・実施し,実験流体力学に関する有用な情報を若手の研究者・技術者に提供して,実験流体力学の今後の発展に貢献した.

受賞のコメント:

 過去5年間にわたり10回開催いたしましたEFDワークショップのコーディネーターの1人として,貢献表彰をいただくことになりました.身に余る光栄で大変恐縮しておりますが,本WSを評価いただいたとすれば,それは我々コーディネーターではなく,お忙しい中にもかかわらず,大変興味深いご講演をして下さいました多くの講師の皆様のお陰であります.この場をお借りして講師の皆様に厚くお礼申し上げます.

  EFDワークショップは,我々コーディネーターで3代目となり,初代からおよそ15年間継続して開催しております.その間,CFDの急速な発展と普及があり,実験の経験が全く無い研究者も増加しております.企業の研究・開発部門でもCFD化が進み,多くの設計パラメータは数値計算によって決定されていることは承知の事実です.しかし企業の開発分野でも,最終決定には実験による確認が必要であると言われており,数値計算に頼るだけでは良い製品はできないと伺っております.すなわち,EFDが必要とされる機会は今後も減少するかもしれませんが,EFDがすべてCFDに置き換わることはあり得ず,最終決定という重要な場面では,EFDの必要性と重要性はむしろ増加するものと思われます.にもかかわらず,”実験のできる”研究者・技術者は減少傾向にあります.その理由はCFDの発展によることが大きいと思いますが,それだけではなく,実験をするには”設備(費用)”,”面積(場所)”および”経験(技術伝承)”が必要なためと思われます.この最後に挙げた技術伝承は,これまで大学や企業の研究室で代々受け継がれてきた部分が大きいと思われますが,EFD人口の減少に伴って,最近ではこれが機能しなくなってきたように感じます.そこでEFDワークショップの役割は,最先端の実験・計測技術の紹介はもちろんですが,この技術伝承も今後さらに重要になっていくものと思われます.

  EFDの最大の特長は,”現実にその現象が起こっている”ことだと思います.もちろんノイズや様々な外乱,実験装置固有の問題など,実験者の想定外の原因でそれは引き起こされた現象であるかもしれませんが,その現象が起こっていることは事実です.逆に言えば,想定外であった原因がわかれば,その現象は再現性のある既知の現象であると言える訳です.現在では実験も自動化が進み,実験中は風洞のそばに居なくても実験ができます.しかし私は学生に,自動計測であってもできるだけ風洞のそばに立ち,耳で音を聞き,肌で振動を感じ,目でオシロスコープの波形を眺め,今現実に起きている現象を五感をとぎすませながら身体で感じるように指導しています.身体に感じた感触には,今まで気づかなかったヒントが隠されている可能性があるからです.この体感的ヒントの発見も,EFDならではの楽しみだと思っています.既に4代目EFDワークショップがスタートしていますが,このWSを通して多くの研究者・技術者に,この楽しみを味わっていただきたいと願っています.

一般表彰(貢献表彰)


望月 信介 (山口大学)

受賞理由:

 EFD(実験流体力学)ワークショップを10 回にわたり企画・実施し,実験流体力学に関する有用な情報を若手の研究者・技術者に提供して,実験流体力学の今後の発展に貢献した.

受賞のコメント:  

 EFDワークショップ3代目として2003年から2008年の5年間,飯田先生,井上先生,松村先生と活動を続け,10回のワークショップを行いました.話題性,古典的基礎課題,新技術や人選など,テーマ選定には四苦八苦しておりましたが,メンバー全員の協力で乗り越えることができました.相似性,最新の計測技術から昆虫の飛行性能まで,実験流体力学が極めて幅広い範囲に展開していることを思い知らされました.講師をお願いした先生から常にご快諾の返事をいただいたことは心強い助けになり,感謝しております.

  最近,大手企業に勤める先輩から「若い技術者がコンピュータとばかり仕事をして現実離れした結果をみても誤りに気づかないことが多い」という嘆きをよく耳にします.現場や現実を直視して判断することは,ものづくり立国と言われた日本,それ以外の国においても忘れてはならないことと思います.それに対し,実験流体力学はものづくりを中心とした工学の発展と技術者の育成に対して欠かすことのできない役割を果たしており,今後も変わらないと信じております.

  至らない活動でございましたが,立派な賞を授与いただき,恐縮しております.活動を次世代に引き継ぐことができ,これも皆様のご支援の賜物と感謝しております.これからも実験流体力学が発展することを願いつつ,微力ながら流体工学の発展と研究に尽力してまいります.新メンバーによる実験流体力学の活動ともども相変わらずのご指導・ご鞭撻を賜りますようお願いします.

更新日:2010.4.5