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機械工学年鑑「流体工学」(2018年版)

まえがき

 流体工学は機械工学の基盤の一つであり,工学における各種機械装置,動力,輸送機器,また,医療・生体・スポーツなど多岐にわたる技術分野とかかわっている.ここでは特に,代表的な領域分野として,乱流,混相流,圧縮性流れ,噴流・せん断流,希薄・マイクロ流れ,燃焼流,および,応用技術として,流れの計測・可視化,流体機械,医療応用,スポーツを取り上げて,それらの研究動向を示す.

 乱流に関しては,壁乱流をはじめとする様々な乱流場での秩序構造と理論的解析,乱流混合とその応用,また,乱流制御に関する研究などが紹介されている.混相流については,気泡流れ,および,液滴・液膜流れそれぞれに関して,理論および応用研究の最新動向が取り上げられている.圧縮性流れでは,航空機などの遷音速・超音速流れ,宇宙機などの極超音速流れでの研究動向が実験,数値解析の両観点より紹介されている.また,噴流・後流・はく離流れでは,基礎的な流動特性から流れ制御などの応用領域まで多様な研究が報告されている.希薄気体流・マイクロ流では,非平衡流れの理論的・数値的取り組みやマイクロデバイス関連の技術研究動向が述べられている.燃焼流れでは,乱流燃焼,デトネーション,スプレー燃焼,すす生成,着火など諸問題における国内外の研究動向が示されている.流れの計測では,粒子画像流速計(PIV)を中心に計測技術の最新動向が述べられている.さらに今年度は3 つの分野を特に取り上げこの10 年ほどの研究動向を紹介している.まず,風力エネルギーでは特に北海道地区にて導入盛んとなっている風車に関する技術・研究動向を取り上げた.医療応用については,衝撃波や超音波を循環器系疾患の治療に用いる研究動向を述べている.最後には,冬季オリンピックイヤーを迎えてこれまで本学会で紹介されることの少なかった冬季スポーツにスポットを当て,スキージャンプ競技などへの流体工学応用について紹介している.

〔大島 伸行 北海道大学〕

 機械工学年鑑「流体工学」(2018年版)は,流体工学の分野において2017年1月から12月までの1年間に発行・出版された論文,解説,さらに技術の発展や動向を解説したものです.

機械工学年鑑「流体工学」2018年版(PDF)

更新日:2018.1.11