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「第15回流れのふしぎ展」実施報告

神奈川工科大学 中根一朗

 8月11、12日の2日間、東京・台場の日本科学未来館において、「第15回流れのふしぎ展」を開催した。本イベントは、空気や水の流れを利用した“ふしぎで面白い現象”を体験してもらう体験型展示と工作教室、流れに関する研究を行っている研究者の講演を聴く科学教室、ならびに、風力を利用して風上に走るウインドカーのコンテストから成っている。そしてこれらを通して、理科や科学技術に興味を持ってもらうことが、本イベントの目的である。

図1 ふしぎで面白い現象に思わずこぼれる笑み
 
図2 言葉の壁を越えて面白さは理解して
もらえたはず…!

 早くも15回目を迎えた本イベントであるが、本年度は、初日の朝に地震と大雨に見舞われるという最悪のコンディションでのスタートとなり、来場者の減ることが危惧された。しかしながら、2日間合計で4100人(1日目1700人、2日目2400人)もの来場者を集め、例年通りの大盛況となった。以下に、当日の状況を記す。

 

<体験型展示・工作教室>

 体験型展示と工作教室では、「あっ!」と驚いたり、「ふむ…、ふむ…、なるほど!」と感心したりする空気や水の流れを利用した現象を実際に体験し、楽しんでもらうことを主眼としている。加えて、各ブースにおいては、現象を解説するパネルを掲示するとともに、スタッフが解説や質問に対する回答も行っており、現象をキチンと納得してもらえる体制を取っている。もっとも、本年度は例年にも増して国際色豊かなイベントとなったため、学生スタッフは説明に四苦八苦したようであった。

 なお工作教室では、浮沈子(水の入った容器内を浮き沈みするおもちゃ、図3参照)、雪だるま飛ばし(串に緩めに刺さった発泡スチロールの小球をストローからの息だけで抜き飛ばす、図4参照)、プラコップ転がし(2つのプラコップの底どうしをくっ付けた“コロ”に向けてストローで風を送り、手前に転がす)などの意外な動きをするおもちゃ作りを楽しんでもらい、毎回ほぼ定員一杯の盛況ぶりであった。

図3 工作教室での“浮沈子”作成の1コマ
 
図4 工作教室において“雪だるま飛ばし”の遊び方を説明しているスタッフ

 

図5 タコの身体の仕組みを説明する
清野聡子先生

<科学教室>

 科学教室では、「ジェット水流を吹く海の生き物たち」(清野聡子先生、東京大学)、「宇宙へ! 時速30000キロの世界」(谷直樹先生、JAXA)、「流れのふしぎ」(石綿良三先生、神奈川工科大学)と題して、3つのテーマでの講演がなされた。

  ここ2年、体験型展示・工作教室の会場と科学教室の会場は建物の両端に分かれており、体験型展示・工作教室の参加者を、効率的に科学教室へと誘導することが昨年はできなかった。 このため、本年度は昨年度の反省を活かした対策(スタンプラリーにおける科学教室の優遇、積極的な広報)を講じた。この対策が功を奏したのか、本年度の科学教室は、いずれも多くの参加者を集め、非常に賑わったものとなった。特に、30分と言う決して短くはない時間でありながら、就学前とおぼしきお子さんから付き添いのお父さん、お母さんまで、熱心に目を向け、耳を傾けている姿が印象的であった。

図6 ロケットの驚異的速度を
説明している谷直樹先生
図7 液体のふしぎな特性を説明している
石綿良三先生

 

<ウインドカーコンテスト>

 このコンテストは、風のエネルギーだけで風上に走る模型自動車(ウインドカー)の速さや障害物を乗り越えるアイデアを競うものであり、以下の2部門、6クラスに分けて実施した。
@ レーシング部門:小学生の部(11組がエントリー)、中高生の部(33組がエントリー)
A 障害物部門
  ・片道走行:ジュニアの部(10組がエントリー)、高校生・一般の部(28組がエントリー)
  ・往復走行:ジュニアの部(エントリー無し)、高校生・一般の部(13組がエントリー)
なお、いずれの場合も、コース長さ:3m、走路内風速:3m/sであり、ウインドカーは完全に静止した状態からスタートするのが規則である。

 まずレーシング部門においては、デュアルレーシングによるトーナメントであるため、レース終盤での大逆転や、持ちタイム上位者が敗れる波乱などもあり、参加者のみならず会場全体が非常に盛り上がった。その結果、小学生の部の優勝者は松本英里香さん(図8)、中高生の部の優勝者は冨田翔君(図9)となった。

図8 レーシング部門小学生の部
優勝の松本英里香さん
図9 レーシング部門中高生の部
優勝の冨田翔君

 

 次に障害物部門においては、走路に3種類の障害物(坂道障害、台形型障害、ピラミッド型障害)を配し、片道走行では障害物を乗り越えゴールするまでの時間を、往復走行では障害物を乗り越える際のアイデアの秀逸さを競った。

 その結果、障害物部門片道走行ジュニアの部においては、キャタピラーにより安定した走行を見せたウインドカーの内山玄君(図10)が優勝し、同高校生・一般の部では、まるで障害物の影響が無いかのように軽快に走り抜ける姿が印象的なウインドカーの須磨晃君(図11)が優勝(日本風力エネルギー協会賞を受賞)した。

図10 障害物部門片道走行ジュニアの部
優勝の内山玄君

 

図11 障害物部門片道走行高校生・一般の部
日本風力エネルギー協会賞(優勝)の須磨晃君

図12 障害物部門往復走行高校生・一般の部
日本風力エネルギー協会賞の渡部圭祐君

 そしてウインドカーコンテストの最後に行われたのが、障害物部門往復走行競技である。この競技はタイムレースではなく「アイデア・独創性・美しさ」を競う種目であり、障害物を乗り越え、風上のリターンゾーンまでの片道を走りきり、その上で元の風下のスタートラインへと戻るというものである。このため、例年に比べ障害物の難易度を下げたうえで新設した種目であったが、往復であるという敷居の高さからか、ジュニアの部(中学生以下)の参加者が無く、高校生・一般の部においても1台の完走もないという結果となった。しかしながらその中でも、もっとも完走に近く会場を沸かせた渡部圭祐君(図12)が日本風力エネルギー協会賞に選ばれた。

 なお、タイムレースであるレーシング部門と障害物部門の片道走行においては、優勝以外にも、準優勝、第3位(障害物部門片道走行ジュニアの部は該当無し)、特別賞が併せて選出され、表彰が行われた。  

 

<最後に>

 今回も多くの人を集め、その目的を達成した本イベントであるが、特に、小さいお子さんから付き添いのお父さん、お母さんまで、みんなが一様に楽しんでいる姿が印象的であった。このイベントでの体験が、理科や科学技術に対する興味の引き金となれば幸いである。

 なお、開催に際しては、日本機械学会流体工学部門特定事業資金、日本機械学会機械工学振興事業資金、神奈川工科大学からそれぞれ助成金を頂くとともに、多くの機関・団体から後援・協賛を頂いた。また、開催までの準備と会期中の運営に当たっては、委員、学生、一般ボランティア計61名の献身的な協力に支えられた。これら、多大なる助成とご協力に深く感謝の意を表す。

更新日:2010.3.29