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「第16回流れのふしぎ展」実施報告

神奈川工科大学 山岸陽一

 8月14,15日,東京都江東区の日本科学未来館で日本機械学会流体工学部門主催,神奈川工科大学共催「第16回流のふしぎ展」を開催した.この企画は,「流のふしぎから未来が見えてくる」をテーマに流れのふしぎな性質を体験型展示,工作教室,科学教室,風に向かって走るウインドカーコンテストや今年スタートした教員向けの研修会から成る.子供から大人まで,そのふしぎな世界を見て,さわって,話しを聞いて「えっ!?」と驚くような発見をして,遊びながら,いっしょにそのなぞを解き明かそうというものである.東京湾大華火祭によるレインボーブリッジ封鎖などの交通規制にも関わらず,2日間で合計約4300人(1日目約2300人,2日目約2000人)もの方々の来場があり大盛況であった.会場の様子を以下に示す.

 

<研修会>

図1 研修会で説明する石綿先生

本年度からスタートした研修会では小学校〜高校教員,科学ボランティア,教職課程学生等を対象として流れを利用した教材作りを行い,原理や応用について解説が行われた.解説ごとに実験風景をカメラに収めるなど熱心な質疑応答があった

 

<体験型展示>

空気や水の流れを利用したおもちゃや遊びを通して,流のふしぎを実際に体験する.ドライヤーの風でボールをあやつり障害物をクリアしていく「ボールの散歩」,ボールの回転を利用して直接ゴールをねらう「コーナーキック」,終端速度と同じ速さで下から気流を吹かし,水滴が空中に浮かんでふしぎな動きをする「雨滴」,カップを回転させてフワッと飛ばす「マグナスカップ」,回転しないようにボールを飛ばしボールの後ろの不規則な渦でボールに変化が起こる「無回転シュート」など10種類のブースがある.各ブースでは,スタッフによる遊び方の説明やパネルを使って現象の解説が行われた.
終了時間を過ぎても,楽しく遊ぶ多くの小学生や中学生の姿がみられた.

 

図2 無回転シュートにスタッフも力が入る 図3 ボールの封じ込めに興味津々

<工作教室>

図5 音の速さについて説明する松尾先生

 自分で簡単なおもちゃを作って,空気や水の流の性質を学ぶことができる.ストローで吹いてあやつる発泡スチロール製の「雪だるま」や,ふしぎな動きをする「コップ転がし」を作って遊んだ.工作教室に参加するため,埼玉県から駆け付けたご家族もあり,小学生・幼稚園生をはじめ付き添いのご父母も楽しまれていた.約30分間の授業で延べ8回実施し,169名が参加した.

 

<科学教室>

 科学教室では,「音の速さと飛行機の速さ」(松尾亜紀子先生,慶應義塾大学),「宇宙へ!ロケットのひみつ」(河津 要先生,宇宙航空研究開発機構),「流れのふしぎ」(石綿良三先生,神奈川工科大学)と題して,3つのテーマの講演が各30分間行われ230名の方々が参加した.体験型展示や工作教室に参加された多くの方が引き続き科学教室に出席され,会場はほぼ満席状態であったが,先生方のお話は,小さいお子さんにも興味のある大変わかりやすいお話で一生懸命聞いている姿が印象的であった.

図6 ロケットのスピードについて
説明する 河津先生
図7 風船が空中で静止する理由を
説明する石綿先生

<ウインドカーコンテスト>

 コンテストは,風のエネルギーで風上に走るウインドカーを競争させ,2台並走によるトーナメント方式で速度を競うレーシング部門と,坂道型,台形型,階段型の3種類の障害物を乗り越えて進むウインドカーで速度を競う片道走行とアイデアを競う往復走行の障害物部門がある.どちらの部門も,コース長さ:3m,走路内風速:約3m/sであり,ウインドカーは完全に静止した状態からスタートする規則である.以下の2部門,6クラスに分けて実施した.

  1. レーシング部門:小学生の部(11組がエントリー),中学生の部(13組がエントリー),
    高校生の部(20組がエントリー)
  2. 障害物部門:
    ・片道走行:ジュニアの部(5組がエントリー),高校生・一般の部(19組がエントリー)
    ・往復走行:ジュニアの部(エントリー無し),高校生・一般の部(6組がエントリー)
図8 参加者にインタビューするスタッフ 図9 障害物往復走行に参加したウインドカー.
往路はプロペラ,復路はパラシュートで

 レーシング部門の小学生の部では,カラフルなウインドカーが登場して接戦の末,優勝者は木村朱里さん(図10),中学生の部では,直進するように帆を張ったり,プロペラを2つけたウインドカーが登場した結果,優勝者は越川博康君(図11),高校生の部では,手作りの大きなプロペラや安定性に工夫がみられる中,矢のように速いウインドカーを製作した大峰誠也君(図12)が優勝した.

図10 レーシング部門
小学生の部
優勝の木村朱里さん(右側)
図11 レーシング部門
中学生の部
優勝の越川博康君(右側)
図12 レーシング部門
高校生の部
優勝の大峰誠也君(右側)

 障害物部門の片道走行ジュニアの部では,研究改良の結果タイヤを4個から6個に増やした木村成孝君(図13)が優勝(日本風力エネルギー協会賞を受賞)し,高校生・一般の部では,タイヤを自作し,糸の巻取りにも工夫を施した伊藤良亮君(図14)が7.77秒で優勝した.

図13 障害物部門片道走行ジュニアの部

      優勝の木村成孝君(右側)

図14 障害物部門片道走行高校生・一般の部

      優勝の伊藤良亮君(右側)

図15 障害物部門往復走行高校生・一般の部
優勝の三浦 立君(右側)

 障害物部門の往復走行競技は障害物をすべて乗り越えてゴールした後,再び障害物を乗り越えてスタートラインに戻る往復型のウインドカーのアイデアを競うものである.難関な競技であることから,ジュニアの部(中学生以下)の参加者が無く,高校生・一般の部においても残念ながら1台の完走もないという結果になった.往路はプロペラ,復路はパラシュートを使うなどアイデアを駆使したウインドカーの中で,もっとも完走に近く会場を沸かせたプロペラ切り替えタイプのウインドカーを製作した三浦 立君(図15)が日本風力エネルギー協会賞に輝いた. なお,優勝以外にも,レーシング部門と障害物部門の片道走行(高校一般の部)においては,準優勝,第3位,特別賞が併せて選出され,障害物部門の片道走行(ジュニアの部)では特別賞,往復走行(高校一般の部)ではアイデア賞とユーモア賞も選出された.

 

<最後に>

 会場では,自分の手で触れて確かめることが大好きというお子さんの姿が多数見うけられた.また,学生スタッフも幼い子に対して,実に根気よくていねいに子供さんの気持ちを尊重して行動した.このイベントが16回も続く理由はここにあるように思う.

 なお,開催に際しては,日本機械学会流体工学部門特定事業資金,日本機械学会機械工学振興事業資金,神奈川工科大学からそれぞれ助成金を頂くとともに,多くの機関・団体から後援・協賛を頂いた.また,開催までの準備と会期中の運営に当たっては,大学教職員(神奈川工科大学,群馬大学,東京工業大学)の委員10名,学生(神奈川工科大学)50名,一般ボランティア10名の献身的な協力に支えられた.これら,多大なる助成とご協力に深く感謝の意を表す.

 

更新日:2010.9.3