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No.08-20 講習会「流体力学基礎講座」開催報告書

防衛大学校 伊藤 慎一郎

 2008年6月19日(木),20日(金)の二日間にわたり,“流体力学基礎講座”が機械学会会議室で開催されました.受講者数は,社会人23名(会員7名),学生40名(会員3名)の計63名でした.講師には,防衛大学校 伊藤慎一郎,東京工業大学 中島 求先生,豊橋技術科学大学 飯田明由先生をお招きし,下記の題目で講義をしていただきました.流体力学の基礎を,生物の動きとスポーツにからませた流体力学と計測機器の原理,そして非定常流体に対する実験計測法,考え方までが聴講できる充実した内容でした.今回の講義参加者では例年になく生物系,スポーツ系の参加者が特に目立っていました.


第1日 (6月19日(木))
9:30 − 11:00 流体の性質一般,粘性力,レイノルズ数,圧力 伊藤慎一郎
11:20 − 12:30 浮力,揚力,抗力(飛翔と遊泳,ボールの抗力等) 伊藤慎一郎
13:30 − 13:40 質問コーナー 伊藤慎一郎
13:40 − 15:00 ベルヌーイの定理,運動量の法則 伊藤慎一郎
15:10 − 16:30 f=maと流体の運動方程式 伊藤慎一郎
16:30 − 16:50 質問コーナー 伊藤慎一郎

 

 

 

第2日 (6月20日(金))

9:30 − 11:00 非定常流の測定法および非定常データの処理 飯田明由 先生
11:00 − 11:20 質問コーナー 飯田明由 先生
11:50 − 12:00 機器展示製品説明 機器展示業者様
13:10 − 14:00 計測装置と計測原理 伊藤慎一郎
14:00 − 14:10 質問コーナー 伊藤慎一郎
14:20 − 15:50 非定常流体力の理論とモデリング 中島 求 先生
16:00 − 16:40 非定常流体力のモデリングの適用例〜人間の水泳など 中島 求 先生
16:40 − 17:00 質問コーナー 中島 求 先生

第1日目の伊藤の講義では,配布資料を中心に浮く,飛ぶ,泳ぐなどをキーワードに流体中での物体に作用する力,圧力,浮力,揚抗力を通常の教科書とは異なる順番で解説されていました.伊藤の説明には動画を多用されて受講者からも「具体的でわかりやすかった.」と好評でした.「JSME テキストシリーズ流体力学」(http://www.jsme.or.jp/publish/txt05.htm) を参考として使用しました.


写真1.伊藤の講義風景

 第2日目午前中は,飯田先生に非定常流体の実験方法,データの取り扱いについてお話して頂きました.非定常流体計測に必要な実験装置の説明や,PIV,PTVの計測例,感圧塗料を使った最新の圧力測定法,マイクロフォンを使った非定常圧力の計測法,ウェーブレット変換までを解説していただきました.「現在,取り組んでいる研究・業務の参考になった」,と満足された受講者の方も多かったようです.


写真2.飯田先生の講義風景

午前中最後の機器展示の説明では,テルスイメージ社の画像と記録データ一体表示および動画像処理ソフトの紹介と,ノビテック社の扱う高速度ビデオカメラVisual Research社のFantomや完全オフラインで扱える高速度ビデオMiroの紹介が行われました.普段接したことのない計測ソフトや高速度カメラで興味を持たれた方が多数いました.

2日目午後の講習は伊藤による圧力計測,速度計測,速度分布計測について計測原理と計測装置の解説が行われました.さらに生物,スポーツ運動の計測で用いられるDLT法による3次元運動解析の注意点,加速度,ジャイロデータロガーについてのデータ処理問題についてお話がありました.

講習会の最後は,中島先生に非定常流体力の理論とモデリングについてお話しして頂きました.ポテンシャル理論から非定常力の発生理由とその大きさについて説明され,携わってこられた非定常流体力のモデリングの適用例として人間の水泳などを通して実例を踏まえた内容ということで,受講者の方も真剣に聞き入っていました.


写真3.中島先生の講義風景

 

表1.アンケート結果

 

 アンケート結果では,理解度,満足度ともに高い回答が得られ,受講者の皆様にとって有意義で満足いただけた講習会になったと思われます.配布資料も評判が良かったように思います.生物系,スポーツ系のメーリングリストを使って,そちら方面の方にまでに流体力学を広げた初めての試みでした.しかしながらかなり噛み砕いた説明ではありましたが普段から物理,数学に接することの少ない生物系,スポーツ系の方々にはまだ難しかったようです.時間配分と解説方法に工夫が必要であるようです.

2日目は非定常流体が中心の講義でしたが,興味を持ってくださった方が多いようでした.飯田先生に関しては配布された資料よりもスライドの印刷資料を望む声が多いようでした.

参考書として使用した「JSME テキストシリーズ流体力学」(http://www.jsme.or.jp/publish/txt05.htm)に関しては「説明が丁寧に書かれており,図解も多くわかりやすい」と,大変評判でした.

 流体工学部門では,このような講習会を引き続き開催していく予定です.業務・研究で流体力学の知識が必要になった方,学校での授業の再確認を行いたい方,他の分野の方,などにはもってこいの講習会ですので,たくさんの皆様のご参加をお待ちしております.

 最後に,本講習会にご参加いただいた受講者の皆様,ご多忙中にも関わらず講演をお引き受け下さった講師の方々に厚く御礼申し上げます.

更新日:2008.7.24