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第96期流体工学部門講演会報告(室蘭2018)

実行委員長 河合秀樹*
* 正会員 室蘭工業大学 大学院工学研究科
(〒050-8585 北海道室蘭市水元町27-1)

1.はじめに

 第96期流体工学部門講演会は北海道室蘭市にて,2018年11月29日(木)~30日(金)の2日間で開催されました.北海道のこの季節はまさに晩秋から冬への突入の様相を呈しており,寒い季節,お越し頂いた皆様にはご不便をお掛けしてしまいました.本年度から本講演会も新たな試みが模索され,特に「講演全てをポスターセッション」にすること,そして「平日開催」,が今回大きく変更された注目点となっています.我々現地では後者の対応に手間取り,当初会場予定であった室蘭工業大学が使用できなくなって市内多目的ホールに切り替えた訳ですが,夏から秋口の北海道は平日でも人気が高く,会場を押さえるタイミングを逸してしまいました.更には準備期間中に発生した胆振東部震災は,我々現地の士気を急降下させるに足る辛い出来ごととなりました.しかし,能見部門長や玉野講演会WG主査を始め,学会の皆様から温かい言葉を絶えずかけて頂きました.また講演発表登録数は268件に上り,講演会当日には400名以上の参加者のご来場と活発な議論を賜りました.ここに改めて深く感謝申し上げる次第です(Fig.1).


Fig.1  流体工学部門講演会当日の会場

2.講演会概要

 ポスターセッションは15のオーガナイズドセッションと一般セッションに分けて行われました.企画されたオーガナイズドセッションのテーマ,オーガナイザー(敬称略)は次の通りです.

2-1 オーガナイズドセッション

OS1 流れの制御・抵抗低減 [オーガナイザー 小方聡(首都大),玉野真司(名工大),深潟康二(慶應大),岩本薫(農工大)]
OS2 気泡・液滴・界面 [オーガナイザー 小笠原紀行(大阪府大),真田俊之(静大),小林一道(北大)]
OS3 混相流の多次元可視化計測 [オーガナイザー 村川英樹(神戸大),村井祐一(北大),武居昌宏(千葉大)]
OS4 超音波を用いた流体計測 [オーガナイザー 木倉宏成(東工大),村川英樹(神戸大),古市紀之(産総研)]
OS5 噴流,後流およびはく離流れ現象の探求と先端的応用 [オーガナイザー 松村昌典(北見工大),村松旦典(日大),牛島達夫(名工大),内山知実(名大)]
OS6 再生可能流体エネルギーの利用技術 [オーガナイザー 木上洋一(佐賀大),高尾 学(松江高専),松田 寿(北海道科大),飯尾 昭一郎(信州大)]
OS7 流体関連振動・騒音 [オーガナイザー 加藤千幸(東大生研),飯田明由(豊橋技科大),鈴木康方(日大),横山博史(豊橋技科大)]
OS8 流体機械の研究開発とそれに関連した複雑流動現象 [オーガナイザー 渡邉聡(九大),山田和豊(九大),船崎健一(岩手大),堀口祐憲(阪大),内海政春(室工大)]
OS9 圧縮性流体の基礎と応用 [オーガナイザー 松田淳(名城大),野々村拓(JAXA),畠中和明(室工大),寺島洋史(北大),野々村拓(東北大),高橋裕介(北大)]
OS10 非ニュートン流体の流動現象 [オーガナイザー 岩田修一(名工大),高橋勉(長岡技科大),鈴木洋(神戸大)]
OS11 壁乱流-統計,構造,動力学の理解- [オーガナイザー 望月信介(山口大),辻義之(名大),河原源太(阪大),阿部浩幸(JAXA)]
OS12 機能性流体を基盤としたフロンティア流体工学への新展開 [オーガナイザー 高奈秀匡(東北大),小原 弘道(首都大),茂田 正哉(阪大接合科学研究所),土井 謙太郎(阪大),本澤政明(静大)]
OS13 生物・生体流れとバイオレオロジー[オーガナイザー 佐伯壮一(大阪府大),窪田佳寛(東洋大),田地川 勉(関西大),武居昌宏(千葉大),小原弘道(首都大),古川大介(大阪市大)]
OS14 航空宇宙分野における流体現象 [オーガナイザー 今井良二(室工大),内海政春(室工大),廣田光智(室工大),畠中和明(室工大),中田大将(室工大)]
OS15 管内流・内部流 [オーガナイザー 早水庸隆(米子高専),高見敏弘(岡山理大),柳瀬眞一郎(岡山大)]

 オーガナイザーにはOSのご提案,採択判定,論文査読を行って頂きました.講演件数の確保においてオーガナイザーの役割は極めて大きく,今後ともオーガナイザーにある程度の役割と権限をもたせる仕組みは大事ではないかと思われます.

 その後ポスター作成と続くわけですが,一度に貼れるパネル枚数は80枚としてパネル間隔3.5mを保持し,午前午後にて貼り付け場所を表記することで,少し混み合うものの議論の場所を確保することに努めました.丁度良いとのご意見も頂き安心した次第です.講演時間は議論する時間を重視して2時間を設定しました.途中で帰る人も少なく終了間際まで来場者,発表者の数を確保できていたのが印象的でした.上手く行ったと思っておりましたが,片や長過ぎるとの意見もあり今後の課題です.タブレット端末やノートPCを利用される発表者もおられ,各自で発表方法に工夫が見られた点もポスターセッションの新たな利点として写りました.

2-3 特別講演および基調講演と懇親会
 特別講演と基調講演を2日間に渡って企画し,それぞれ,旭山動物園長 坂東 元氏による「つたえるのは命 つなぐのは命」,並びにインターステラテクノロジズ㈱代表取締役社長 稲川 貴大 氏による「民間単独での観測ロケット開発と打ち上げ, その後の超小型衛星打ち上げロケット開発状況」と題して御講演頂きました.


Fig.2  特別講演 旭山動物園長 坂東 元氏


Fig.3  基調講演 インターステラテクノロジズ㈱社長 稲川 貴大 氏


Fig.4  各賞の授賞式と懇親会

 坂東氏は,動物の行動展示を通して動物の生き抜く術,絶える運命などの深い意味を講演頂き,また稲川氏には,北海道から民間単独で観測ロケットを打ち上げるまでの失敗と新たな挑戦を迫力あるデータとともに語って頂きました.御二人はジャンルは全く異なりますが,修羅場を通して「生き抜く力」の大切さを伝えて頂き,会場から大きな拍手が出ておりました.

 懇親会では青山室蘭市長を御招きし,「地域におけるものづくりの大切さと学会への期待」を述べられ,各賞の授賞式とともに北海道文化である「よさこいソーラン」のイベントも手伝って,和やかな交流の場が広がって行きました.

3.おわりに(今後の課題点)

 能見部門長,並びに技術委員会委員長の平原先生や副部門長の森西先生の懇親会でのお話にもありましたように,伝統ある流体工学部門講演会が,今回初めて全ポスターセッションと言う新たな方向に舵を切られた英断に敬意を表します.とともに,浮かび上がった数多くの課題点を地道に解決する方法を模索して行く必要があると思います.オーガナイザーの役割の見直し,講演時間,あるいは平日開催による効果とデメリット,地方講演による地域企業との交流広場の拡張法,周知法の工夫,などが今回実施して行く中で思いついたところです.来年度実行委員長 飯田明由先生(豊橋技術科学大学)にお伝えし,何かのお役に立つことができれば幸甚です.

 最後に,本講演会が大きく変化する最初のステップを北海道の一地方都市で模索するなど,おこがましい限りとの思いを抱えながらの運用でした.その中で絶えず精神的支柱になって頂いた前部門長の小尾先生,そして北大の大島先生,渡部先生,村井先生,北見工大の松村先生を始めとする流体工学懇話会の結束メンバー,現地実行委員会幹事を務めて頂いた室蘭工大の大石先生と室蘭工大,学内実行委員会の皆様,夢コンで会場を一気に盛り上げて頂いた北大の小林先生,皆様のお力なくしては到底辿り着けることはできませんでした.この場をお借りして厚く御礼申し上げる次第です.

更新日:2019.3.4