霧吹き2(間違えやすい原理)
まずは見てみよう!
どんな実験?
実験手順と種あかし
- 霧吹き(スプレー)の原理で有名な間違った説明があります。「空気を勢いよく噴出させるとまわりの空気(圧力は大気圧)よりも流れが速いのでベルヌーイの定理により流れの圧力が大気圧より低くなる」というものですが、これは間違いです。古くから今井功先生(ロゲルギストの一人)や種子田定俊先生による指摘もありました。この実験はその指摘を確かめるものです。
- ストローで吹くだけでは圧力は低くなりません。はじめの実験(ストローがつながっている実験)では、水を吸い上げることはできません。ストローを出た流れはほぼ大気圧のままなのです。
- 二つめの実験では、流れの中にたてのストローの一部を入れると水を吸い上げ、水しぶきが発生しました。これは、たてのストローの頭の部分で流れのはく離(流れが物体からはがれる現象)が起こり、圧力が大気圧よりも低くなったことが原因です。
- 【注意】「息を強く吹いたり、ストローやホースから空気や水を噴出させるとき、その流れは速いのでベルヌーイの定理により大気圧より低くなる」と書いてある科学入門書がたくさんあります。しかし、ただ単に空気や水を噴出させるだけではその流れの圧力はほぼ大気圧に等しく、圧力が低くなるという説明は間違っています。はじめの実験によってそのことが確認できます。
ベルヌーイの定理は流体のエネルギー保存則であり、一つの流線上の上流と下流の点でエネルギーを比較するものであり、噴出した流れとまわりの静止した空気を比較することは正しくないのです。詳細は参考文献を参照してください。
【キーワード】 | はく離、ベルヌーイの定理 |
【関連項目】 | 霧吹き1 |
【参考】 | 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P186-191. |
更新日:2013.8.1