第85期 部門長からのメッセージ
第85期 流体工学部門長 東北大学 流体科学研究所 井小萩 利明 |
<サロン回帰を目指して>
この度、第84期新美部門長の後を受けて、第85期 (2007年度) 部門長を仰せつかりました東北大学の井小萩です。ご存知かもしれませんが、機械学会の会員数は、バブル景気の終期に急速に増加して45,000人台に達しましたが、いわゆるその後の失われた10年の後半にかけて徐々に減少して、最近は39,000人台に留まっております。年齢別の会員数の分布からは、特に30代前半の企業会員の落ち込みが著しいそうです。学生会員が企業へ就職後、一度学会から離れることに一因がありそうで、学会の将来としては懸念される問題とされています。このような傾向は、他部門に比べて常に最多の部門会員を有している本部門も同様です。
一方、新美前部門長が昨年度の挨拶で触れられていたように、学会本来のサロン的雰囲気を取り戻し、同好の研究者・技術者が競争と協調の中で自発的に学術や社会の発展に貢献できることが望ましいのではないでしょうか。そのためには、会員増強の量的問題も重要ですが、会員への情報伝達やサービスの質的向上が大切になるかと思います。そのような意味から、昨年度に実施された第2回の部門活動評価の結果を見ると、本部門は「学術普及・発展活動」、「対外活動」、「活性化活動」、「部門固有項目」のいずれにおいても活発とのA評価で、総合評価もAとなっています。しかし、部門会員数あたりの活動評価点は平均程度となり、さらなる活動を期待するとのコメントが付けられています。
本部門の活動報告(過去5年間)を取りまとめられた総務委員の方々の期待にも関わらず、この評価の意義や結果の活用方策等について、まだ充分理解できない点もあります。第1回委員長・幹事会(5月18日開催)においては、本部門担当理事に出席いただき、部門運営の現状について意見交換しました。当方からは、 1.部門評価結果の交付金配分等への反映、 2.学会活動を大学の公務として要請、 3.英文ジャーナルでのレビュー記事掲載の無料化、 4.ホームページ等の広報費への助成、などを要望しました。担当理事から理事会に挙げていただけることになっていますので、今後の部門運営に反映できればと思います。
今期の課題としては、会員への情報メール配信サービス (fed-info) の登録者数 1300 名を増強させること、企業所属の会員との関係を強化すること、英文ジャーナル“ Journal of Fluid Science and Technology ”の認知度を高めること、などが考えられます。また、今年はASMEと共催の流体工学会議が7月30日から8月2日まで米国 San Diegoで、年次大会が9月9~12日に関西大学で、部門講演会が11月17~18日に広島大学で開催が予定されていますので、多数のご参加をお願い致します。また、学生を含む若手の会員を奨励するための優秀講演表彰、中小企業の情報発信の場としての「匠の技術表彰」なども鋭意、実施していきますので、今後とも皆様方のご支援・ご協力を宜しくお願い申し上げます。
日本機械学会第 85 期流体工学部門部門長 井小萩 利明