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第87期 部門長からのメッセージ


第87期
流体工学部門長
京都大学
小森 悟

 

 第87期 (2009年度)の流体工学部門長を仰せつかりました京都大学の小森です.今年度は,古川雅人副部門長(九州大学),酒井康彦技術委員長(名古屋大学),河合理文総務委員長(IHI),岡 新一広報委員長(C&I),梶島岳夫部門英文ジャーナル編集委員長(大阪大学),さらに技術委員会に所属する4つのワーキンググループ(WG)の主査である高比良裕之講演会WG主査(大阪府立大学),渋川直紀講習会WG主査(東芝I),福西祐学術表彰WG主査(東北大学),平原裕行編集・企画WG主査(埼玉大学)から構成される組織で流体工学部門の運営を進めてまいりますので皆様方のご協力をよろしくお願い申し上げます.

 2008年度末の流体工学部門の登録者数は6667名であり(第1位から第3位までの登録者),毎年のことですが機械学会の20部門の中で最大の数を保っております.しかし,一昨年と比べますと第1位登録者が180名ほど減少していることが気掛かりなところです.この登録者数を減らすことなく増大させるためには,流体工学部門が会員にとって登録しておいて良かったと感じられるだけの魅力的なものにならなければなりません.特に,企業の会員の皆さんを引きつけることが重要であり,昨年度から後藤彰前部門長(荏原製作所)を中心にその方策が検討されてきましたが,まだ妙案は出ておらず今年度も引き続き検討を行っていく予定です.また,部門の魅力は会員が参加したいと思う企画があるか,さらに,会員にとってメリットがあるものを部門が提供できるかどうかにあります.前者にはお祭り的ではなく実りのある講演会や有用な講習会の実施等,後者には価値のある顕彰や推薦制度等が求められると思います.今年度からすぐに実行できるというものではありませんが来年度に向けてこれらの点についても積極的に検討していきたいと思います.

 もう1つ部門として真剣に考えておかねばならないものに,機械学会論文集B1編への投稿論文数が徐々に減少しており,昨年度と2001年度とを比較しますと324件から213件へと2001年度の65%程度になっていることがあります.内容のある学術論文集から変りつつある和文集に論文を発表しても業績として価値が認められない,ISIの引用対象とならない等の理由で,会員が英文ジャーナルや国際雑誌に機論への投稿数の減少分に相当する論文を上乗せして投稿されているのであればあまり問題はありませんが(編修理事会では賞等とも関連するので機論のあり方について真剣に検討して頂かねばなりませんが),流体工学部門の皆様方が発表される内容のある論文の総数自体が減る傾向にあるのであれば流体工学分野の衰退につながる看過できない問題とも思われます.昨今の大学等では,評価,評価と騒がれるため簡単な査読しか行われない国際会議に出まくって論文数を稼ぐとか,金,金と騒がれるため教育研究プロジェクト獲得や実績作りのための会議や学会開催等に翻弄されて,じっくり物事を考えて論文を書くための研究時間が無くなっている等の理由で,内容のある充実した論文の発表数自体が全体として減りつつあるのではないかとも心配されます.ボランテイア活動で成り立っている学会の運営にも,得点制に基づく部門評価などが入ってきますと実のあることよりも数を競わなくてはならなくなりますが,このためにあまり無節操に活動の手を広げすぎますと研究等で脂の乗っている年代の有能な部門運営委員の皆様方の足を引っ張ることや,流体工学部門の良き伝統を壊していくことにもなりかねません.これらの点に十分注意して皆様方に手間を取らせずかつ魅力ある部門運営を行うにはどうすればいいかについて検討していきたいと考えております.部門運営等に関する意見などがありましたら遠慮無く部門長のところまでお伝え願えればと思います.特に,30~40代の若い会員の方々の貴重なご意見は積極的に部門運営に活かしていきたいと思います.

 以上,見せかけよりも実をとる部門運営を今年度は目指していきたいと思いますので,皆様方のご支援,ご協力のほどよろしくお願い申し上げます.

 

日本機械学会第87期流体工学部門部門長 小森 悟

更新日:2009.5.18