市民公開行事「流れのふしぎ科学教室」報告
- 身のまわりの流れから科学を体験 -
神奈川工科大学 石綿良三
平成24年9月9日(日),日本機械学会年次大会の市民公開行事として「流れのふしぎ科学教室」を実施した.金沢大学自然科学3号館の人間機械実習室という,実験実習科目で使われる教室を会場とした.小中高校生を対象とした「楽しい流れの実験教室」と教員等を対象とした「教員・科学ボランティのための研修会」との2部構成とした.講師は石綿(神奈川工科大)が担当した.実行委員の木綿隆弘先生(金沢大),長谷川雅人先生(金沢大)には事前準備から当日運営にあたって細部まで行き届いたご協力をいただきました.また,松井良雄先生(金沢学院短大,前 金沢大)ご夫妻には参加者勧誘ばかりではなく,当日の指導にもご協力いただきました.このように献身的なご協力に深く感謝申し上げます.
さて,第1部の「楽しい流れの実験教室」には小中学生が30名近くの参加があった.前半は流体工学部門HP内の同名の実験動画でも公開している,「ななめに浮く風船」,「雪だるま」,「ボールの封じ込め」,「浮沈子」,「水運び」,「マグナスカップ」など空気や水を使ったふしぎな実験や遊びを体験してもらった.後半は,まわりを吹く風のエネルギーで風上に走る模型自動車「ウインドカー」の工作を行った.少し手間取っていた子供たちもいたが,松井先生ご夫妻の個別指導があり,大きなトラブルもなく無事終了した.うまく風に逆らって前進したときの子供たちの笑顔が印象に残っている.このような活動を通じて,小中学生あたりから知的好奇心や科学への関心・理解を育んでいくことが大切であると考えている.
第2部の「教員・科学ボランティのための研修会」には,小学校教員,科学普及活動をされているボランティアの方などの参加があった.世の中の一般向け科学書を見ると,しばしば空気や水などの流体を使った実験が紹介されている.これらの実験は驚くような現象が起こったり,予想とは逆の動きをしたりして一般の方々の興味をひくのに有効である.しかし,その原理の説明は間違っているものの方が多いものもあり,憂慮すべき状況になっている.これを改善するための一環として,ここ数年,部門HPにおける実験動画公開や本研修会を行っている.今回は実演を交えながら15項目ほどを紹介した.しばしば原理を誤解されているものについてはどのように間違えているのか,正しくはどう説明するのがよいのかについて解説した.項目が多すぎてやや駆け足になったかもしれないが,差し上げた参考図書で再確認いただければと思っている.
幸いにして流体にはさまざまな「ふしぎ」な現象や遊びがあるので,これらを手がかりに科学の普及に努めていきたい.
参考:流体工学部門HP「楽しい流れの実験教室」
http://www.jsme-fed.org/experiment/index.html