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第25回流れのふしぎ展 開催報告

神奈川工科大学 石綿 良三

 2019年8月10(土)11日(日),日本科学未来館にて日本機械学会流体工学部門主催,神奈川工科大学共催「第25回流れのふしぎ展」を開催いたしました.連日の記録的な猛暑に見舞われながらも,2日間で約2,400人もの方々の来場がありました.「流れのふしぎから未来がみえてくる」をテーマとして,体験型展示,科学講演,科学教室(工作教室),空力オリンピック,教員と科学ボランティアのための研修会を通して,身のまわりの流れに関するふしぎな世界を見て,さわって,遊ぶことで,子供から大人まで「えっ!?」と驚くような発見をして,そのなぞを解き明かそうというものです.空気や水のふしぎな現象に夢中になっている来訪者も多く,楽しくためになったとの声をよく聞きました.

1.体験型展示(8月10日,11日)

 14種類の空気や水の流れを利用したおもちゃや遊びの展示を,スタンプラリー形式で実施しました.幼児,小学生を連れた家族,中学・高校生のグループや一般、海外からの来訪者らで各ブースは賑わいました.スタッフの説明に熱心に聞き入る親御さんの姿も多く見受けられました.

 「流れで遊ぼう」では8種類のアトラクションがあり,それぞれ8月11日には「空力オリンピック」のステージ1の8つの関門としました.その中の「5回まわしてGO!」(図1)は輪っかに小さな風船を8個取り付けたものをドライヤーの風で空中に浮かべてくるくる回すもので,子供も大人もびっくりしていました.他には,ボールの回転を利用して直接ゴールをねらう「コーナーキック」(図2),薄い円板を筒の中に落としてゆっくりと落下させる「ただよう円板」(図3),まわりを吹く風のエネルギーで風上に走る「ウインドカー」(図4)など実際に体験しながら学べるものになっています.

図1 5回まわしてGO! 図2 コーナーキック
   
図3 ただよう円板 図4 ウインドカー

2.科学講演(8月10日)

 科学講演では,「殻を持っているプランクトン,放散虫とその生き方」(吉野 隆先生,東洋大学),「ブラックホールのふしぎ」(栗田 泰生先生,神奈川工科大学)と題して,今話題になっている2つのテーマの講演が行われ,大人だけでなく小中学生を含む延べ約160名の聴講者が集まりました.吉野先生の講演では,放散虫(図5)という骨格を持つふしぎなプランクトンについて,その種類や生き方を紹介いただきました.放散虫は,骨格の形態からいくつかの種類に分類でき,まるで人工的な造形物であるかのようなその幾何学的な美しさに見とれてしまいます.また,特殊な生き物ではなく身近に海水から採集できること,繁殖の仕方などまだ解明されていないことがたくさんあるということでした.栗田先生(図6)の講演では,今年,映像が撮影できたことで話題になっているブラックホールの基礎をわかりやすく説明いただきました.ちょうど世の中で関心が高まっていることもあり,質問タイムでは素朴な疑問から専門的とも思えるような高度な質問など時間延長して活発なやり取りがありました.

図5 放散虫(吉野隆先生講演) 図6 栗田先生の講演

3.科学教室(8月10日,11日)

 ストローで吹いてあやつる発泡スチロール製の「雪だるま」など,自分達で作ることのできるおもちゃの工作とそれを使ったゲームをしました(図7).ふしぎな動きをする雪だるまの動きについてスタッフが楽しく教えてくれ(図8),例年この工作教室は好評をいただいております.
参考:http://www.jsme-fed.org/experiment/2009_12/002.html

図7 科学教室 図8 雪だるまのおもちゃ

4.空力オリンピック(8月11日)

 空気を利用したアトラクションにチャレンジするタイムトライアルです.ステージ1(時間制限なし)はドライヤーの風であやつる,①ボールを筒から出す,②にょろにょろ,③棒を取り出す,④円板を取り出す,⑤風船を運ぶ,⑥ボールの封じ込め,⑦ボールの散歩,⑧5回まわしてGO!という8つのアトラクションからなります.8つのうち6つ以上クリアできた人が次のステージ2にチャレンジできます.ステージ2は,①卵を取り出す,②ボールの散歩(ステージ2バージョン),③ボールを入れ・取り出す,④空飛ぶにょろにょろ,⑤タコ上げ の5つのアトラクションをクリアするタイムトライアルです.ただし,小さなお子さんは時間に関係なく,体験してもらいました.アジア,欧米などの外国からの来訪者も多く,参加された方々は一つ一つのアトラクションを驚きながら楽しそうに体験していました.

図9 空力オリンピック 図10 空力オリンピック
   
図11 ボールの散歩 図12 タコ上げ

参考:
ボールを筒から取り出すhttp://www.jsme-fed.org/experiment/2016_12/001.html
にょろにょろ http://www.jsme-fed.org/experiment/2016_12/002.html
5回まわしてGO!  http://www.jsme-fed.org/experiment/2017_4/001.html
タコ上げ http://www.jsme-fed.org/experiment/2017_10/002.html

5.教員と科学ボランティアのための研修会(8月10日)

小・中・高校教員,科学ボランティア,教職課程学生等を対象として流れに関わる現象の原理や応用例について,石綿(神奈川工科大学)が,空気や水の流れを利用したデモ実験や教材製作を交えながら流体力学の基礎を解説しました.手製の実験教材を参加者自身が作成し,その教材を基にやさしい解説を交えながら,身の回りの流れに関わる現象についてのホント or ウソ!?を紹介しました.講義の中では参加者からの質疑で活発なディスカッションが行われました.

図14 研修会 図15 研修会

6.最後に

 開催に際しては,日本機械学会流体工学部門特定事業資金,日本機械学会機械工学振興事業資金,神奈川工科大学からそれぞれ助成金をいただくとともに,多くの機関・団体から後援・協賛を頂きました.また,開催までの準備と会期中の運営に当たっては,大学・高専教員(神奈川工科大学,群馬大学,東京都市大学,東北大学,香川高専,近畿大学附属高専)の11名,学生(神奈川工科大学を主として)27名,一般ボランティア19名,総員57名(図16)の献身的な協力に支えられました.これら,多大なる助成とご協力に深く感謝の意を表します.

主催 日本機械学会流体工学部門   共催 神奈川工科大学
後援 東京都教育委員会、神奈川県教育委員会
協賛 講談社ブルーバックス編集部、「子供の科学」編集部、ナツメ社、高校生新聞社、
   「理科教育ニュース」編集部、一般社団法人可視化情報学会、一般社団法人日本流体力学会、
   一般社団法人ターボ機械協会、一般社団法人日本風力エネルギー学会


図16 流れのふしぎ展スタッフの集合写真

更新日:2019.10.4