講習会「PCクラスタで行う数値流体解析」の実施報告
理化学研究所 伊藤嘉晃
2003年8月27日(水),28日(木)に,同志社大学(京田辺キャンパス)の知能情報センターの3階会議室にて,「PCクラスタで行う数値流体解析」が開催されました(http://www.jsme.or.jp/0308270s.htm,写真1,2).受講者数は58名(社会人44名,学生14名)とたいへん盛況でありました.関西での実施でありましたが,東京からも多数の参加をいただきました.社会人の内訳は,企業から22名,大学や高専の先生方が16名,国の研究所から5名,その他1名でした.今回の講習会は,PCクラスタの利用に話を絞り,数値流体解析の経験者が自分のコードを並列化しPCクラスタで走らせる時の目安になるような内容の習得を目指しました.それゆえ,大学関係者(主に学生)が多くなるのではないかと予想したので すが,実際募集を開始すると企業からの参加者が多いことは嬉しい誤算でした.
今回,同志社大学の三木教授に提供していただいた講習会会場;知能情報センターの会議室は建物も新しく綺麗で,受講者の席もゆったりしており快適でありました.内容は初日にPCクラスタと並列計算に関する講義,2日目にPCクラスタの数値流体解析への適用に関する講義で,以下のような時間割と講師で行われました.
●8月27日(水) PCクラスタと並列計算
9:00~10:30 「並列処理概論」
三木光範(同志社大学)
10:40~12:10「PCクラスタに関するハードウエアとソフトウエアの知識」
住元真司(株式会社富士通研究所)
(昼食)
13:20~17:00「MPIの使用法と並列化プログラミングの考慮点」
青山幸也(理化学研究所)
17:00~17:30 同志社大学知能情報センターの見学●8月28日(木) 数値流体解析への適用
9:00~10:30 「圧縮性流体解析に用いる並列化手法とその実装」
嶋 英志 (川崎重工業株式会社)
10:40~12:10「非圧縮性流体解析に用いる並列化手法とその実装」
森西晃嗣 (京都工芸繊維大学)
(昼食)
13:20~15:20「非構造格子で用いる並列化手法とその実装」
白崎 実(理化学研究所)
15:30~17:00「PCクラスタを利用した可視化とその効果」
伊藤嘉晃(理化学研究所)
写真1 講習会室全景 写真2 授業の様子
授業終了後には質問の時間を設けるようにしたのですが,活発な議論がなされました(写真3).1日目の講義終了後,同志社大学の三木先生より,会場となったセンターに導入されたクラスターについての説明と実物の見学をさせていただきました.
2日目の講習会の終了後に受講された方にアンケートを実施したので幾つかの結果を紹介します.回収したアンケートは27名分でした.
●参加費用についてはどのようにお感じですか?
1)高い--1名, 2)やや高い--10名, 3)妥当--15名, 4)多少安い-- 0名, 5)安い--1名●使用テキストについてはどのようにお感じですか?
1)良い--4名, 2)概ね良い--15名, 3)普通--6名, 4)若干悪い--1名, 5)悪い--1名●本講習会に関する,全体的な理解度をお答えください
1)かなり理解した--1名, 2)概ね理解した--22名, 3)余り理解できなかった--3名,
4)殆ど理解できなかった--0名, 未回答--1名●本講習会に関する全体的な満足度をお答えください
1)非常に満足--3名, 2)概ね満足--16名, 3)普通--4名, 4)多少不満--4名, 5)不満--0名
参加費用(二日間で会員12000円,学生会員6000円,会員外20000円,一般学生10000円)に関し,40.7%(11名)の人が(やや)高いという印象を持ちました.しかしながら,テキストについては70.4%(19名)の人に(概ね)満足をしていただきました.また,講義内容は85.1%(23名)の方が理解でき,70.4%(19名)の人に良いと評価していただきました.聴講者からこのような比較的高い評価が得られたことは,世話役としてもたいへん幸せなことであります.最後に講師の方,会場のお世話をしていただいた同志社大学の方,機器展示をしていただいた企業の方に謝意を表して報告とさせていただきたいと思います.
写真3 質疑応答の風景 |