講習会「流体力学基礎講座」の実施報告
横浜国立大学 松本裕昭
工学院大学 飯田明由
2004年9月2日(木),3日(金) に工学院大学新宿キャンパス1012室(3日は0865室)で, 「流体力学基礎講座」が開催されました(http://www.jsme.or.jp/0409020s.htm).
受講者数は42人で,内訳は社会人28名(会員22名),学生14名でした.講義は,2日間に渡って行われ,神奈川工科大学の石綿良三先生,東京理科大学の山本誠先生,東京大学の加藤千幸先生に担当していただきました.
授業内容は,
第1日目(9月2日(木)):石綿良三先生 | ||
9.30~10.50 |
流体力学概説(流体の性質と分類,流れの基礎) | |
11.00~12.20 |
静止流体の力学 | |
13.20~13.35 |
質問コーナー | |
13.40~15.00 |
一次元流れ(連続の式,ベルヌーイの式) | |
15.10~16.30 |
運動量の法則・角運動量の法則 | |
16.40~17.00 |
質問コーナー | |
第2日目(9月3日(金)) | ||
9.30~10.50 |
管内流れと管路系 : | 山本 誠先生 |
11.00~12.20 |
混相流の基礎 : | 山本 誠先生 |
13.20~13.35 |
質問コーナー : | 山本 誠先生 |
13.40~15.00 |
境界層,乱流の基礎 : | 加藤千幸先生 |
15.10~16.30 |
流体と騒音・CFDの基礎 : | 加藤千幸先生 |
16.40~17.00 |
質問コーナー : | 加藤千幸先生 |
で,流体力学の基礎から実践的な応用ならびにCFDの基礎(導入部)を習得できるようになっていました.第1日目の石渡先生の講義では,従来は教科書の挿し絵で説明されるような概念を,先生自作のアニメーションで示すことにより,非常に分かりやすくなっていて,受講生の方にも好評でした(写真1).また,質問コーナーでは,多くの質問に一つ一つ丁寧に回答して頂き,終了時間が1時間近く延びてしまいました.
写真1: 石綿先生の講義
2日目の講義では午前中に,山本先生に設計に役立つ管路系の講義と混相流の講義をして頂きました.内容的には1日目に比べやや高度なものもありましたが,受講者の方は熱心に聴講していました(写真2).
写真2: 山本先生の講義
午後は加藤先生に乱流の基礎とCFDの基礎について講義をして頂きました.乱流の発生のメカニズムや乱流の数値解析について多くの例をあげて大変わかり易く解説して頂きました.
写真3: 加藤先生の講義
最終日の講義終了後に実施したアンケート(35名分回収)では以下のような結果が得られました.
● | 参加費用についてはどのようにお感じですか,という質問に対し |
高い(0名) やや高い(10名) 妥当(20名) 多少安い(2名) 安い(3名) | |
のように,やや高いと感じる人が多少いらっしゃいましたが, | |
● | 使用テキストについてはどのようにお感じですか,という質問に対し, |
良い(4名) 概ね良い(21名) 普通(8名)若干悪い(2名) 悪い(0名) | |
と評価は高く,また, | |
● | 本講習会に関する全体的な理解度に関して, |
かなり理解した(3名) 概ね理解した(27名) 余り理解できなかった(5名) | |
殆ど理解できなかった(0名) | |
と概ね有益であり, | |
● | 本講習会に関する全体的な満足度に関して, |
非常に満足(5名)概ね満足(23名)普通(6名)多少不満(1名)不満(0名) | |
と,参加者にとって充実した講習会であったと思われます. |
本講習会は,流体力学の基礎を幅広く身につけるのに最適である他,今まで流体力学を習ったことのない人が身近な流体現象を考えるための一歩にもなると思います.今後,本講習会を機械学会員以外にも幅広く多くの方に参加していただき,流体力学に興味を持つ人が増えることを願ってやみません.