講習会「医療・生体CFDの最新技術」の実施報告
大阪府立大学 須賀一彦
2006 年 11 月 30 日(木)に日本機会学会・会議室において「医療・生体CFDの最新技術」講習会が開催されました.参加者は 32 名でした.
【開催趣旨】
近年関心の高まりがみられる医療・生体関連の CFD について,大学院生はもとより関連する領域の研究者・技術者を対象として,この分野を牽引する著名な講師陣により最新研究事例の紹介を行う.本講習を受けることによって,現在注目されている研究の動向やそこで用いられている手法に関する基礎知識と応用例を学び,医療・生体に関する流れ解析を始める契機となることを目的とする.
【題目・講師】
11 月 30 日 ( 木 )
9.00 ~ 10.30 「呼吸器内部の流れと輸送現象に関する解析」
渡辺紀徳(東京大学)
10.40 ~ 12.10 「ボクセル法に基づく流体解析と血流解析への応用」
姫野龍太郎(理化学研究所)
13.10 ~ 14.40 「メソ領域の計算法と生体への応用」
山本 智(豊田中央研究所)
14.50 ~ 16.20 「脳血管障害に関する計算バイオメカニクス -マルチスケール連成解析-」
福成 洋(東京大学)
16.30 ~ 18:00 「遠心血液ポンプ内流れの数値解析」
西田正浩(産業技術総合研究所)
【講習会の状況】
写真 1 .開会時の風景
写真 2. 講義風景
各講義後に熱心な質問が講師に対してなされ,関心の深さが見て取れました.それは講習の内容が適切であったということを反映しており,以下のアンケート結果(回収率 84.4% )にも現れています.
表 1 .アンケート結果
年齢構成(%) | |||
20 代 | 30 代 | 40 代 | 50 代 |
74 | 15 | 7 | 4 |
職種(%) | |||
学生 | 研究 ( 企業・大学・公的機関 ) | 設計 | その他 |
63 | 37 | 0 | 0 |
参加きっかけ(%) | |||
会告 | Web | 紹介 | メール |
7 | 7 | 78 | 7 |
参加費(%) | |||
高い | やや高い | 妥当 | 安い |
22 | 41 | 33 | 4 |
テキスト(%) | |||
良い | 概ね良い | 普通 | 若干悪い |
0 | 22 | 56 | 22 |
理解度(%) | |||
かなり理解 | 概ね理解 | 余り理解できない | ほとんど理解できない |
4 | 80 | 16 | 0 |
満足度(%) | |||
非常に満足 | 概ね満足 | 普通 | 多少不満 |
12 | 56 | 24 | 8 |
表 1 に示すようにアンケートの分析結果から,参加者はやはり講習会の性格上 20~30 代の学生を含めた成長段階の若手研究者が約 9 割を占め,上司などの紹介による動機が基本であったようです.そして 8 割以上の参加者が概ね理解でき,講習会の質に不満はなかったようです.しかし, 2 割以上の参加者がテキストについては不満を示し,個々の詳細な理由についてはここに記しませんが,主な理由として講演のパワーポイント・ファイルがテキストに含まれていなかったためであるとありました.それが講習会の満足度にも相関しておりました.そこで,それに対処すべく各講演者にお願して講演時のパワーポイント・ファイルを後日に提出頂き,参加者に印刷物として機械学会のほうから郵送していただきました.
【総括・反省】
総括といたしましては,当講習会の内容は若手研究者で構成される参加者の約 8 割に理解し満足していただき,成功裏に終わったと思います.これは,この分野の今後の発展に対しての礎になるものと確信しております.ただ,反省点といたしましては,講義のスライドファイルを予め何らかの形で参加者に配布できる仕組みが必要ではないかということを挙げさせていただこうと思います.そうすることによって,参加者の受ける理解度,コスト・パフォーマンス感の向上が望めるのではないかということです.
最後に参加してくださった受講者の皆様,お忙しい中講演を引き受けてくださった講師の先生方に厚く御礼申し上げます.