No. 22-44 講習会「CFDの基礎とノウハウ」開催報告
近年,従来手法と情報科学的なアプローチを融合し,有用な情報を抽出する新しい分野が開拓されている。本講習会ではその中でも特に流体問題への適用に着目し,「機械学習」や「最適化」などの比較的新しいテーマの実際に関して広く紹介した。本講習会は主に企業の技術者・研究者や学部・大学院の学生を対象とし,WebExを用いたライブ配信を行なった。
ホームページ
https://www.jsme-fed.org/events/2022/22-44.html
プログラム
9:20~9:30 | 挨拶・諸説明 浅田 健吾 (東京理科大学) |
9:30~11:00 | 「流れの本質の理解と解析の基礎」 本講義では,設計業務や研究業務にCFDを適用して期待した成果を得るために,はじめに理解しておく必要がある流体の基本的な性質と,特に実用上問題となることが多い乱流に関して,流体力学を学んだことがない人にも分かるように説明する. |
11:10~12:40 | 「物理モデルの基礎と選択法」 山本 誠 (東京理科大学工学部) 乱流等の2次的な現象を含む流れの解析において,厳密な方程式を直接解くことは実用性に乏しい.従って,これらの影響を簡便に表現するための物理モデルを計算に導入するのが一般的である.本講義では各種物理モデルの,流れ場に対する予測性能の差異や計算コストについて説明する. |
12:40~13:40 | 昼休み |
13:40~15:10 | 「離散化手法とスキームの基礎と選択法」 CFD技術は格子,離散化手法や物理モデルなど様々な要素からなるが,離散化手法だけを取り上げても全ての応用範囲を包括する万能なものは存在しないのが実情である.離散化手法に限らず計算法には堅牢性,高精度,高速性のような特性が要求されるが,これらの特性は相反するところがあるため,現実には問題に応じて適切に選択する必要に迫られる.本講義は正しい選択をするため,基礎的な計算法の性質を理解することを目的とする. |
15:20~16:50 | 「自由界面流れの数値計算」 境界形状の変化を伴う自由境界流れに対して,界面で課される境界条件や基礎方程式の記述の仕方など基礎的な事項の説明を行う.さらに,自由境界問題を解くための計算手法として,VOF法,Level Set法のように固定格子を用いる手法や境界適合格子を用いる方法について,それぞれの手法の利点・欠点を含めて解説する. |
参加者
参加者: 正員20名,学生員18名,正員(学生員から正員への継続特典対象者)4名,特別員6名,協賛会員2名,協賛学生員1名,会員外21名,一般学生4名,計76名
アンケート結果
(有料参加者76名,回答者35名,回収率46%)
ご専門は何ですか?
- 自動車の空力設計
- 機械工学
- 流体力学、計量計測
- 燃焼工学
- 力学原理と物理シミュレーションを基礎としたデザイン支援手法の構築
- CAE解析
- 宇宙推進系における伝熱
- 圧縮性流れの高精度数値解法の開発
- 空調関連の研究開発
- 河川工学
- 家電製品の流体設計
- 自動車部品のCFD解析
- 流体力学
- スポーツボールの空力性能
- 混相流、回転翼周り等の数値解析
- プラント関連技術の開発
- 流体機械の設計最適化
- 粉砕機の設計
- 複雑流体力学
- 数値解析を対象とした機械学習システム開発
- プラズマ環境技術
- 自動車の空力解析
- 潮流タービン
- 燃焼推進
- 現在、病気療養中のため無職ですが、学生時代に機械工学を学ばせて頂きました。
- 構造解析
- プラントの流体解析
- VTOLの空力設計
- 道路トンネルの換気検証
- 熱工学
- 吸気フィルタの性能評価手法の開発
(2)参加の動機
- 今後の研究に活かせる知見が得られると思ったため。
- 大学の研究でCFDを用いており、数値計算の基礎知識を学ぶため
- 燃焼流などの数値計算を実施するため
・シミュレーションを用いた研究を行っていくことになったため - CFDで気液二相流に関する計算を行うことになったため
- 就職に伴い燃焼に加えて流体の研究に従事することになったため
- 構造解析をメインに取り組んでいたが、CFDによる熱流体解析にも取り組む必要が生じてきたため。
- 数値解析の基礎知識をつけたかったため
- 今後の研究活動において参考になると考えたため.
- 空調分野の数値解析(流体解析)を行う機会が多く、知識習得のために参加しました
- 解析業務において流体力学の基礎知識が必要となったため。
- 業務において流体力学のプログラムを作成する必要があるため
- CFDに関する知識が必要となったため
- 業務上で流体力学の基礎知識が不足していたため
- CFDを用いた研究を行っており、計算手法などを詳しく知りたかったため。
- CFD解析の基礎知識を学びたいと考えたため。
- CFDの研究をおこなっている中でソフトウェア内部で行われている乱流計算や離散化等々についての学習を再度学習するため。
- 業務においてCFDを扱う必要が生じたため。
- CFDの乱流モデルの選択方法に興味があったため
- 設計でCFD等の解析を活用できないか検討するために参加した。
- 流体解析の基礎知識を習得するため。
- 卒業研究、および研究室の活動の一環として。
- 業務において流体力学のソルバーを扱う必要がでたため
- プラズマのシミュレーションにおいて、数値流体力学の基礎知識が必要となったため。
- 研究でCFDによる解析を行っているため
- タービンの設計にCFDを使用するため
- ハイブリッドロケットの燃焼場の解析と,自分の車用に自作した空力デバイスの解析をしたかったため.
- 30年ほど前に修士論文で未解決だった問題を考えるために拝聴させて頂きました。
- 伝熱設計において流体力学の基礎知識が必要となったため
- 流体力学の基礎知識の確認のため
- 卒研でCFDを多用する必要性が高まってきたため。
- 業務において数値流体解析の知識を必要としているため
- 今後の研究でcfdを使うので、その知識を付けるため
- 粒子の吸引現象を評価するにあたり、流体力学、計算力学の基礎を学びたいと感じたため
オンライン開催について,上記の選択をした理由を簡単にご回答下さい.
- 板書がカメラに共有されていないことがあったため、概ね良いとしました。
- 移動時間がかからないため気軽に参加可能だから
- 現地開催だと時間の都合上出席しにくい
- どこでも視聴することができるというオンラインの良さもあるが、対面の講義による緊張感なども感じ得られたら良いと思ったから
- 場所を選ばずに受講ができる一方で,講義が一方通行になるため
- 自宅から接続できるため
- 東京まで行かずに受講できるため。
- 現地に向かう手間が省ける
- 特に不具合を感じなかったため.
- 画面も見やすく落ち着いて聴講できたため。
- 出張の必要がなく気軽に受講できるため。
- 移動時間・経費を必要としない
- ・特に問題なく受講することが出来ました
- 遠方からでも参加が可能なため。
- 画面を共有していただき、すごいわかりやすかったです。
- オンラインで先生方の貴重なお話を手軽に聞くことができるが、実際にお会いして細かいお話もしてみたいと思ったから。
- 参加しやすい。
- 移動の必要がなく楽だから
- 自分の好きな場所で受講できるため。
- コロナ禍という状況もあり、オンラインの方が参加しやすい。
- メモが取りやすい点。また、アーカイブの公開もあり、復習しやすい点。
- 東京在住ではないため,交通費などの面で費用負担が抑えられたため
- 移動に時間がかからないので、長時間でも参加しやすいから。
- 対面の場合、移動費もかかるため、学生である身としてはオンラインはありがたいです。
- 時間と出張費の節約,アーカイブが見れる
- スケジュールに融通が利くため,参加しやすい.
- 加藤先生が仰られておられた様に、大学院で 15回分の講義を圧縮して講義して下さるので、私の頭ではついていくのがやっとです。加藤先生の御講義を 15回くらいに分けてオンラインで拝聴させて頂けると嬉しいです(涙・・・すみません。)
- 移動の必要がないため
- 参加しやすく、先生方はzoomの使い方にも慣れていらっしゃり、スムーズだったため。
- 場所を問わず参加できるが、対面ほど質疑応答がしやすい訳ではないため。
- 都合のよい場所から参加することが出来、場合によっては一時退席が可能なため。特に、今回のように平日開催の場合、勤務との兼ね合いがしやすく、とてもありがたい。
- 自分の回線の影響ですが、たまに聞こえずらいところがあった
- 同日、別件の打合せが既に入っていたため、現地開催では参加断念せざるを得なかったが、オンラインであれば参加できると判断できたため。
テキスト(教材)について,上記の選択をした理由を簡単にご回答下さい.
- 見やすい資料になっていた。
- 自分の知らなかった内容について詳しく説明されており非常に勉強になったため
- 丁寧に資料がつくられている
- 非常に実践的でわかりやすい資料になっている
- 要点を抑えていて読みやすかったから
- 要点が分かりやすく記述されているため.
- テキストに掲載していない単語での説明が多く,理解が難しい部分が多い
- 必要な情報は記載されておりました
- 詳しく説明が書かれており、板書による講義もよかったと思います。
- 資料を見ながら理解することができたため。
- よくまとめられていて今後の学習にも復習にもなるため。
- 事前に配布されており、予習復習がしやすい。
- 図なども多く、理解しやすい。
- 式の説明のメモなどが欲しかった
- スライド資料なので、講義の補足程度だと思っている。
- 見やすくまとめられていた点。
- 余白も十分で、メモを取るにも困らなかった。
- 講義内容がまとまっており,振り返りがしやすいため
- 流体力学とCFDの基礎が簡潔にまとめられているから。
- 特段わかりずらいということもなく、お話を聞く中で理解できたからです。ただ、動画の場合にpdfだとみられないのが残念でした。
- 事前配布がよかった
- 嶋先生の御講義で、波数の相違で、移流速度に差が生じ、位相差と速度差で分散と振動が発生する様子が良くわかりました。有難うございました(拝)。
- 内容が充実していた。一方で、難易度が高くも感じた。
- 本質的な説明がしてあり大変ためになるが、基礎という割には初心者にも欲しい基本事項が省かれている。
- 動画を用いたパワーポイントを配布資料にしたものについて、動画部分の表示が、動画先頭の、意味の無いタイミングに固定されており、この点が残念だった。
- 中々、教科書などではつかめないイメージを把握することができました。後半の内容になるほど、少々難しく感じました。
(10) 今後,数値流体力学に関する講習会においてどのような内容の講義を聴講したいですか?
- 適切な計算領域および格子の作成について
- 実際のモデル作成の基礎知識
- 適切な乱流モデルの選択
- 相変化モデルについて勉強する機会があると嬉しいです
- 高精度な離散化手法及び計算スキーム
- 計算格子の最適化
- 乱流モデルの選択手法
- 数値流体力学における、適切なモデルの選択
- 自由界面でのより高品質な精度向上におけるプログラムの内部の解説
- 混相流や燃焼流の解析基礎
- 実際にソフトウェアを用いた講習会を受講したい。
- 簡単な手計算を含めた実習などがあるといいと思います。
- 乱流解析の基礎
- 流体計算手法の選択の注意点,よくある間違い
- 混相流のモデル選択
- 計算格子作成に関するノウハウ
- CFDを使用した開発例
- ・燃焼流と混相流などの複雑な現象が同時に起こっている場合の適切なモデル選択.
- 大橋秀雄「流体力学」(2)(コロナ社)の 1-3. 乱流剪断流・エネルギースペクトル分布に関する物理モデルを、今回の加藤先生の様に分かりやすく講義して頂ける御講義が拝聴させて頂きたいです。
- メッシュの生成に関するノウハウ・勘所
- 混相流・化学反応(燃焼)・大規模スケール解析
- プロペラ周りの流れをはじめとする旋回流解析の基礎とノウハウに関するもの
- 数値流体シミュレーションの結果処理や分析に関する講義(現実の実験結果の分析と同じものかもしれませんが)
- 混相流のモデル化手法
(11) その他のご意見:特に,このような講習会が企画されれば是非参加したいという講習会があればお書き下さい.
- ・復習の意味も込めて、本日の講義のオンデマンド配信を行っていただければ幸甚です。
- 本日は長いお時間ありがとうございました。
- 流体計算の失敗例などがあれば,共有いただきたいです
- 学会・学問と社会や現場の距離が IT 化の影響もあって、やや乖離しつつあると感じます。それを相互をお互いを高め合うための場の様な、産学連携とまでは言い過ぎかもしれないですが、学会の研究がどのように産業化され、世界や国内での標準化も含めて、産業競争力や税収・国力の向上等にどう繋がるのか、大学や企業の方の具体的なケースを、教えて頂けるような講習会があれば是非参加させて頂きたいと思います(拝)。
- 大規模解析、産業分野の話