吸盤のひみつ
まずは見てみよう!
どんな実験?
実験手順と種あかし
- 吸盤はいろいろなものに貼りつくことができます。そのひみつを調べてみましょう。
- 吸盤(直径6cm)をテーブルにしっかりと貼りつけます。5kgくらいの力で引き上げてもびくとも動きません。
- 床に置いてばねばかりで引き上げてみたところ、約19kgの力まで耐えられました。
- このように大きな力を支えることができるひみつは、①ゴムやビニールなどの柔らかい材料でできていることと、②真ん中あたりがへこんでいる形にあります。
- 柔らかい材料でできていると、上から押し付けると中央部分の空気が外に押し出されて空洞部分の圧力が非常に低くなります。
- 柔らかい材料のはたらきはもう一つあります。強く押されるとテーブルと接触している吸盤表面がへこんでテーブルと密着できます。気密性が保たれ、中の空洞と外部の大気を遮断します。それによって空洞内の圧力を非常に低く保ちます。硬い材料を使うと表面がへこまないのでテーブルとの間がすき間だらけになり、気密性が保たれなくなります(「テーブルに下敷きを貼りつける」の下敷きのように)。
- 真ん中あたりがへこんでいる形は中央部分に空洞を作るためです。はじめに中の空気を押し出すことによって、非常に低い圧力になります(理想的には真空に近い状態にしたい)。この低圧と外側の大気圧との差によって大きな吸着力が発生します。空洞が低圧になると吸盤とテーブルとが接触している面の接触圧力を大きくし、表面の凸凹を抑えてさらに気密性をよくするはたらきがあります。
- 以上によって、吸盤は大きな吸着力がはたらきます。この実験で用いた直径6cmの吸盤の外側にはたらく大気圧(面積1cm2あたりに約1kgの力)による力は約28kgです。これに対して実験では約19kgの力まで耐えられ、効率よく機能していることがわかります(下面がすべて真空の場合に約28kgの力となり、理論的な最大値)。
【キーワード】 | 大気圧 |
【関連項目】 | テーブルに下敷きを貼りつける、天井に下敷きを貼りつける |
【参考】 | 石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P16-17. 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P34-37. |
更新日:2015.10.1