第82期(2004年度)流体工学部門 一般表彰(貢献表彰)
● 辻 裕 教授 (大阪大学)
● 今尾茂樹 教授 (岐阜大学)
● 佐野正利 教授 (千葉工業大学)
● 高見敏弘 教授 (岡山理科大学)
● 福西 祐 教授 (東北大学)
辻 裕 教授(大阪大学)
<授与式の写真>
受賞理由:
2003 年度流体工学部門講演会の実行委員長として組織運営に精力的に取り組み,講演会の企画・実施に多大なる貢献をした.
受賞のコメント:「貢献表彰を受賞して」
流体工学部門貢献賞受賞の報せを受けた時は驚きました.私よりも流体工学部門の諸事業や活動において貢献の大きい方々を沢山存じ上げているので本当に恐縮しています.身に余る光栄ですが,素直に喜んでいます.流体工学部門の活動において私を支援し支えて下さった多くの方々のおかげです.それらの方々に深く感謝いたします.
機械学会のように規模の大きい学会の場合,会員が学会との関係を持つのは,部門や支部を通じての活動が殆どと思います.部門や支部が学会全体を支えていることは明らかです.機械学会には現在21の部門があり,各部門は互いに切磋琢磨する関係にあります.各部門のデータが示される時,部門の登録人数が真っ先に示され,その数が最大の流体工学部門は他を圧倒しているかのような感じで見られることがありますが,別の視点で流体工学部門の特徴を見ると,数ある部門の中で競合する専門学会の数が最も多いことがあげられます.これは流体工学という分野のすそ野の広さを示すものでしょう.専門学会同士は分野を異にするので基本的には競合しません.しかし流体の殆ど全てと言っていいくらい多くの分野に関係する我々の部門は流体関連の全ての専門学会と張り合っていかなければならない宿命を背負っています.しかし個々の分野に特化した専門学会とそれらの分野を包括する我々の部門を同列に置いて比較することは適切ではないでしょう.自ずから性格や役割が異なります.我々の部門は流体工学連合のような性格があると私は考えています.学術は進歩すればするほど細分化の方向を辿りますが,同時に統一化または統合化の視点を合わせ持つことによってバランスが取れると思います. 流体工学部門でなければできない事や責任が沢山あります. 非常に幅広い会員を有する点に部門の特色がありますが,この特色を活かした事業や活動が今後も展開されることを期待しています.
今尾茂樹 教授 (岐阜大学) |
佐野 正利 教授 ( 千葉工業大学 ) |
高見 敏弘 教授 ( 岡山理科大学 ) |
福西 祐 教授 ( 東北大学 ) |
<授与式の写真>
受賞理由:
若手研究者・技術者のためのEFD(実験流体力学)ワークショップを10回にわたり企画・実施し,実験流体力学に関する有用な情報を若手の研究者・技術者に提供し,実験流体力学の今後の発展に貢献した.
受賞のコメント:
この度,若手研究者・技術者のためのEFDワークショップの企画・実施に対して貢献表彰をいただき,大変光栄に思っております.EFDワークショップはご記憶の方も多いと思いますが,1992年から1996年までの間に合計10回実施されたのが第1期でした.このときのコーディネーターは,山口大・大坂先生,北海道工大・豊田先生,東京理科大・本阿弥先生,岐阜大・山下先生が担当されました.実験流体力学(EFD)の重要性の喚起とともにEFDという言葉が定着したのは4名の先生方が始められたこの第1期EFDワークショップのおかげだと思います.私達は,4名の先生方から引継ぐ形で「若手研究者・技術者のためのEFDワークショップ」と題して,1997年3月の「壁面乱流の計測技術」から2002年9月の「EFDの戦略的展望」まで合計10回にわたりワークショップを企画・実施させていただきました.最初にコーディネーターを引き受けたときには,大坂先生らが始められた第1期ワークショップが毎回満員の大盛況で,かつ大変好評であったことから責任の重大さとともに一抹の不安を感じたことを思い出します.ワークショップの趣旨が“研究上あるいは技術開発上の諸問題について適切なテーマを取り上げ,気軽に懇談あるいは討論する”ことであると伝えられましたので,私達の担当した第2期ワークショップでは特に若手の研究者・技術者から多くの情報を発信していただき,参加者とともに一緒に考えようというスタンスで臨みました.おかげで予定時間を過ぎても討論を終了できないことが度々ありました.快く話題提供を引き受けていただいた講師の皆様,また会場において活発な意見交換・討論をしていただいた参加者の皆様にこの場を借りて改めてお礼申し上げます.このワークショップを通じて数多くの研究者・技術者の方々と知り合うことができ,我々自身も得るところは大きいものでした.なお,現在は山口大・望月先生,岐阜大・井上先生,北見工大・松村先生,工学院大・飯田先生によって新しいEFDワークショップが始まっています.新しいワークショップが流体工学部門の発展に繋がるよう期待するとともに,これからもお手伝いできることがありましたら喜んで協力したいと考えております.
(今尾,佐野,高見,福西:共同執筆)