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紙を吹く

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

  • 紙の下面を吹くと、空気は紙に沿って下に曲げられます。空気には紙から下向きの力がはたらくからです。一方、反作用で紙は空気から上向きに押され、持ち上がったのです。
  • 次に、紙の上側を吹いたときはあまりうまく紙は持ち上がりません。
  • そこで、紙の下流側が少し持ち上がるようにすると紙は持ち上がり、水平に近くなりました。ひとたび紙が持ち上がれば、紙の上流側の端を水平にしても紙はほぼ水平のままです。
  • このとき、紙を凸に曲げたことにより、そこを流れる空気の流線は紙に沿って曲げられます。紙から離れたところは大気圧ですが、流線曲率の定理から、紙に近い曲率の内側は圧力が下がります。そのため、紙が持ち上げられたのです。ひとたび紙が持ち上がって安定すれば、流れは紙に沿って下向きに曲がるので下向きの力を受けており、反作用で紙には上向きの力がはたらきます。この状態になれば、紙の上流側の端を水平にしても紙はほぼ水平のままに保たれます。
【注意】 ベルヌーイの定理により「空気が流れているところは(まわりの静止したところと比べて)流速が大きく圧力が低くなる」という説明は間違いです。何もないところで、ドライヤーや息で空気を吹いてもほぼ大気圧のままです。ベルヌーイの定理は流体のエネルギー保存則ですが、強制的に吹いたところではまわりよりもエネルギーが大きくなっています。そのため、流れているところと周囲の静止したところを比較してベルヌーイの定理を使うことはできません。多くの本などで間違って書かれていますので注意してください。

【キーワード】 運動量理論、コアンダ効果
【参考】

日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P128-133.

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更新日:2012.2.1