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一息でふくらませる

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

  • 細長い袋をふくらませます。はじめは、袋に口をつけてふくらませます。息を吐いた分だけが袋にたまり、時間がかかります。
  • 次に、袋の口から10cmくらい離して息を吹くと、一息で袋がふくらみました。明らかに吹いた息の量より多くの空気が入っています。なぜでしょうか?
  • これは、息の流れが粘性摩擦によってまわりの空気を引きずって動かし、流量を増やしたためです。
  • この原理の説明で、ベルヌーイの定理を間違って使っている例があります。その説明は、「息を吹くとまわりの空気(圧力は大気圧)よりも速く流れているため、ベルヌーイの定理によって流れの圧力は大気圧よりも低くなり、まわりの空気を引き寄せて流量が増えた」というものです。この説明が間違いであることは霧吹き2の実験でも実証しています。また、このようにまわりから空気が引き寄せられるとすれば中心部分の流れはさらに速くなり、それによってさらに圧力が下がり、さらに強くまわりの空気を引き寄せ…と下流に進むほど流れがどんどん速くなることになり、明らかに矛盾があります。

  • 【注意】「息を強く吹いたり、ストローやホースから空気や水を噴出させるとき、その流れは速いのでベルヌーイの定理により大気圧より低くなる」と書いてある科学入門書がたくさんあります。しかし、ただ単に空気や水を噴出させるだけではその流れの圧力はほぼ大気圧に等しく、圧力が低くなるという説明は間違っています。ベルヌーイの定理は流体のエネルギー保存則であり、一つの流線上の上流と下流の点でエネルギーを比較するものであり、噴出した流れとまわりの静止した空気を比較することは正しくないのです。詳細は参考文献を参照してください。
【キーワード】 粘性摩擦、ベルヌーイの定理
【関連項目】 霧吹き2
【参考】

石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P206-209 および P212-213.

ロゲルギスト「続物理の散歩道」(1964)、岩波書店、P153-157.

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更新日:2013.8.1