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糸の輪をくるくる回す

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どんな実験?

実験手順と種あかし

  • ストローの側面に穴を開けて糸を通してから、糸の端をしばって輪を作ります。ストローを吹くと糸はくるくると循環します。
  • 「ストローの中では空気が速く流れ、ベルヌーイの定理から圧力が低くなり、横穴からまわりの空気を吸い込みます。この空気といっしょに糸が中に吸い込まれて糸が回るのです」と書かれている科学の本がありますが、これは間違いです。細く切ったティッシュペーパーを穴の近くにたらしてみると、穴から空気が吹き出していることがわかり、この説明が間違いであることがわかります。
  • 正しくは、「ストローの中の糸は空気の流れによって粘性摩擦を受けて下流方向に引きずられて循環します。」 ストローから出た後も粘性摩擦を受けて引きずられていることも循環を助けています。
  • 粘性摩擦は流体(気体や液体)によってはたらく摩擦の一種ですが、本実験の場合には流れは糸を下流に引きずり、一方、ストローの内面との間では流れにブレーキをかけ、流れを遅くするはたらきがあります。このブレーキにさからって進むためには、流れの上流側ほど高圧である必要があります(管摩擦損失)。ストローの出口ではほぼ大気圧、上流側では高圧となり、横穴からは空気が噴き出します。
【注意】

「ベルヌーイの定理」を「流れの速い所は圧力が低くなる」ことであると誤解している人が多数います。科学書の執筆者や理科の先生の中にも誤解している人を多く見かけます。科学の入門書では、現時点では間違いの方が多いと感じています。
「ベルヌーイの定理」とは流体(気体や液体)のエネルギー保存則であり、流れに沿った上流側の点(点Aとする)と下流側の点(点Bとする)のエネルギーの総和をくらべると、途中でエネルギーの損失や供給がなければエネルギーの総和は一致するということを表しています。ここで重要なことは、@比較する2点(点Aと点B)は同じ流線上の上流と下流であること、A途中でエネルギーの損失(粘性摩擦による損失など)や供給(途中で扇風機で加速するなど)がないこと、という条件が必要です。その条件が成り立つ場合、2点のエネルギーの総和が等しくなります。前述の2つの条件を満たした上で「2点の高さが等しければ(位置エネルギーが等しければ)、流れが速い所で圧力が低い」ということは正しいのです。
本実験では、ストロー内の流れと周囲の静止した空気とでエネルギーを比較することは正しくなく(同じ流線上にない)、さらにストロー内では粘性摩擦の影響を強く受けていて下流に進むほどエネルギーが小さく(結果として圧力が小さく)なっています(管摩擦損失)。ストロー出口ではほぼ大気圧になるので、その上流側のストロー内では大気圧より高圧になります。

【キーワード】 粘性摩擦、管摩擦損失
【関連項目】 霧吹き2(間違えやすい原理)短い管と長い管空気は吸い込まれるか噴き出すか?
【参考】 石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P206−209、P216−217.
日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P182−185.
更新日:2016.8.1