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落ちない水

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どんな実験?

実験手順と種あかし

  • コップに水を入れてふたをして、逆さまにします。ふたを押さえている手を離してもふたは落ちず、中の水も落ちません。よく知られた実験です。
  • ところが、水が落ちない理由を「表面張力で支えられているから」と説明されることが多いのですが、少し違います。
  • コップの中の水が落ちないように支えている力の大部分は、「表面張力による力」ではなく、コップの中の水の上下の圧力差(=水の密度×重力加速度×高さ)による力です。つまりふたの上面の圧力はほぼ大気圧(正確には大気圧よりもわずかに低い)であり、コップの底(上部)の水圧はこの圧力よりも「水の密度×重力加速度×高さ」の分だけ低くなってつり合っているのです。
  • では、この現象で「表面張力」はどのような役割を果たしているのでしょうか。
  • 表面張力による力はそれほど大きくはなく、水の重さを支えることが不可能であることは「穴の開いたペットボトル」で上下の2点の圧力差を支えられなかったことからもわかります。
  • 表面張力はふたの重さを支えるためにはたらいています。ふたの下面(空気)は大気圧で、上面(水)はふたの重さを支える分だけ圧力が大気圧よりもわずかに低くなります。このわずかな圧力差をコップとふたのすきまの水面(水の膜)に作用する表面張力で支えているのです。
  • だから中性洗剤(表面活性剤として表面張力を弱める)をかけると表面張力(正確には界面張力)による力が小さくなり、ふたを支えられなくなったのです。
【キーワード】 表面張力、深さと圧力
【参考】 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P62-67.
石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P48-49 および P18-19.

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更新日:2011.2.1