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しょうのう船

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

  • 発泡スチロールの薄い板で船を作ります。それを水に浮かべて後部に中性洗剤をたらします。中性洗剤が水に触れると船が前進します。中性洗剤ではなく、固形のせっけんやしょうのう(衣類の防虫剤)でも同じようにできます。昔はしょうのうを使い、しょうのう船として知られています。
  • これは水の表面張力のはたらきによるものです。水などの液体は分子同士がお互いに引きつけあう力(凝集力)がはたらきます。宇宙ステーションで空中に水をこぼすと水は球形になりますが、これも表面張力によるものです。凝集力によって一かたまりに集まろうとするのです。
  • このような凝集力は、ちょうど風船のゴムの膜やシャボン玉の膜が張られているときの膜の張力(引っ張る力)と同じはたらきをしますので、あたかも水面に薄いゴム膜が張ってあると考えるとわかりやすいかもしれません。そのため、表面張力と呼ばれています。
  • 中性洗剤、せっけん、しょうのうなどは表面活性物質と呼ばれ、表面張力を弱くするはたらきがあります。
  • さて、動画の実験では、船の後方側に中性洗剤が流れ、その場所の水の表面張力を弱めました。一方、中性洗剤に触れていない所の水はこれよりも大きな表面張力を保っています。そのため、船の前側や側面は大きな表面張力のまま、後部付近の水は表面張力が弱められます。表面張力の綱引きのようになり、強い表面張力の前の方に船が引っ張られたのです。
【キーワード】 表面張力
【関連項目】 3枚の1円玉
【参考】 ロゲルギスト「続 物理の散歩道」岩波書店、P58-66.
(ロゲルギストとは今井功先生ら7名の物理学者のグループ名であり、全5巻の「物理の散歩道」でさまざまな物理現象や日常の事象を考察しています。)
日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P62-67.
石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P48-49.

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更新日:2014.12.3