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曲がる川の流れの速さ2

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

  • 曲がる川の流れは小学校5年の理科で習います。その教科書には(2018年度時点で)「曲がり部では外側で流れは速く、内側で遅く流れる」と書かれているのですが、実験してみるとうまくできないとの声をときどき聞きます。これは、曲がる流れというものは本来「曲がり部の外側で遅く、内側で速く流れる」という教科書とは逆の性質を持っているからです(流体力学的にはこれが基本)。そのため、普通に実験すると教科書と逆になることも多いのです。そのことを確認してみましょう。以下の実験は水深が一定の条件で行っています。実際の川では水深や底の起伏などの影響を受けますので【発展】で補足説明します。
    (以下の説明は以前公開した「曲がる川の流れの速さ」とほぼ同じ内容です)
  • 曲がる川の流れの速さ」の実験道具を改良して、曲がり部の流れを観察します。装置の土台には長さ90cm×幅60cm×厚さ5cmの発泡ウレタン板を使い、その上に厚さ5cmの発泡ウレタン板を貼りつけて幅12cmの流路を作りました。流路の縁は風呂などの充填剤で漏れ止めをしました。水中ポンプは毎分40リットルくらい出るものを使いました。上流側にはストローをたばねた整流装置(直径4.5mm、長さ6cmを使用)、出口側には直径5mmの穴をたくさん開けた(パンチを使用)高さ2.5cmの仕切板を取り付けて流路の水位を保ちました。
  • 水面に細かく切った紙を浮かべると、外側が遅く、内側が速く流れていることがわかります。水深が一定であれば、基本的にこのようになります。
  • まっすぐ進んできた流れが外側の側面に当たり、外側の圧力が高くなります。それに比べて圧力の低い内側との圧力の差によって水は内側に曲げられ(向心加速度が発生する)、川に沿って曲がります。
  • 外側の流れは曲がり部に近づくときに、高圧部に向かって進みますのでだんだん減速し、遅くなっていくのです。その流量を補うために内側では流れが速くなります。
  • もう少し詳しくいうと、曲がり部の外側では、(粘性摩擦の影響などを無視して考えれば)圧力のエネルギーが大きくなり、その分だけ運動エネルギーが減少します(遅くなる)。一方、内側は圧力のエネルギーが小さい分だけ運動エネルギーが大きくなります(速くなる)。このことから曲がり部では外側が遅く、内側が速くなります。この流れは旋回流れの一部分とも考えられ、粘性摩擦などの影響を無視すれば、自由渦と同じ状況となり、周速は円の中心からの半径に反比例して内側ほど速くなります。
  • この実験から、曲がりの効果は「外側で遅く、内側で速くする」ことであることがわかります。このことが流体力学における基本的な考え方です。ですから、自分で実験してもうまくいかないことがあるのです。なお、実際の川における水深などの影響については【発展】で補足説明します。
  • この実験動画はJSPS科研費 18K03956の助成を受けて制作しました。
【発展】

曲がり部の流れでは「外側で遅く、内側で速くなる」が基本ですが、実際の川では水深、地形、川底の起伏、二次流れ(「曲がる川の二次流れと堆積」で説明)、はく離などさまざまな影響を受けて「外側で速く、内側で遅く流れる」領域ができることがあります。
実際の川では、土砂は内側で堆積して浅くなり、内側で流れが遅くなるという傾向があります。これと比較して、川幅の中央付近や外側では流れが速くなる傾向があります。ただし、浅瀬における減速は粘性のはたらきによるものですが、非常に浅い部分でないとその効果は小さくなります。また、底の起伏などによっても場所ごとに流速の変化が起こります。つまり、外側と内側でどちらが速いのかはそれぞれの川によって違ってくる可能性があります。

また、二次流れの影響によって曲がり部の後半で内側が遅くなることもあります。もう一つは曲がりが終わるあたりの内側で低圧から元の圧力へと上昇するため流れが減速していく(はく離する場合もあり)ことがあります。詳細については「曲がる川の二次流れと堆積」の【発展】で説明します。
【キーワード】 旋回流れ、自由渦
【関連項目】

曲がる川の流れの速さ自由渦と強制渦曲がる川の二次流れと堆積

【参考】 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P52-59.

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更新日:2019.4.1