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水ぐも

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

  • 忍者は水ぐも(水蜘蛛)という道具を使って水上を歩行したといわれています。左右のそれぞれの足に円形状の物体を付けて歩いたそうです。
  • この実験はその水ぐもをまねしたものです。厚さ2cm、直径10cmの発泡スチロールの円板を2枚、ストローでつなぎます。
  • これを水に浮かべると、左右の円板はほとんど沈みません。
  • 次に、おもり(ステンレス球)をつるして水に浮かべます(全体の重さ117g)。円板が途中まで沈んでいることがわかります。このとき、水ぐもは浮力によって浮いています。
  • 「浮力」とは、水中にあるものを浮かび上がらせようとする力で、物体の水中部分と同じ体積の水の重さと同じ大きさになります。そのため、浮力の大きさは物体の水中部分の体積に比例します。この体積が大きいほど浮力の大きさも大きくなります。
  • つまり、おもりを付けると沈む体積が増えて、この体積分の水の重さと等しい大きさだけ浮力が増えるのです。
  • たとえば、体重60kgの人を支えるとします。60kgの重さはおよそ水60L(Lはリットル)の重さと等しくなります。この人を支えるためには、60Lの水中の体積が必要になります。仮に直径50cmの円板を左右の足にはかせる場合、厚さはそれぞれ15.3cm以上必要になります。
  • 最後に、食器洗い洗剤をうすめた液(表面張力のはたらきを弱める)をスプレーで吹きかけます。水ぐもの状況はほとんど変わらず、この実験では表面張力の影響がほとんどないことがわかります。水ぐもは水からの浮力によって浮いているのです。
  • 表面張力は一般的に小さな力なので、物体が軽くて小さい場合に影響があらわれます。人の体重を支える場合にはほとんど影響しません。浮力(水中部分の体積)を大きくすることがポイントになります。
  • この実験動画はJSPS科研費 18K03956の助成を受けて制作しました。
【キーワード】 浮力
【関連項目】

氷がとけると

【参考】

石綿良三・根本光正「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P42-51.

石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P188-189.

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更新日:2023.4.1