ニューズレター

流れ 2004年4月号 目次

― 特集:流れの制御とものづくり ―

― 研究会報告:研究会の動向 ―

― 失敗から学ぶ成功への秘訣 ―

 

日本機械学会流体工学部門研究会
北海道地区流体工学研究会の活動状況と今後


坂本 弘志 
北見工業大学
(研究会主査)
 平成8年度('96年)から流体工学部門の研究会の1つとして,「北海道地区流体工学研究会(A-TS05-09)」が設置され,北海道における流体工学の研究や教育等の活性化と発展を図ることを目的として活動しています.北海道にはその他に,昭和59年度('84年)から機械学会北海道支部の「流体工学懇話会」が設立されており,現在は両者の相互協力のもとに活動を行っています.参加会員は,北海道大学,室蘭工業大学,北見工業大学,北海道工業大学,北海道教育大学,及び釧路,旭川,苫小牧,函館の各高専,並びに道内の民間企業での流体工学の研究教育に関係している約50名であり,研究会としてはかなり大所帯のものとなっています.また研究会は年3〜4回程度で,札幌を中心に会員のそれぞれの地域で開催しています.最も遠い距離にある北見工業大学と函館教育大学では,列車で10時間もかかるにもかかわらず,かなりの会員が常に参加して戴いています.
 平成8年設立時から開催された研究会の具体的な話題の内容を選んで紹介してみますと,つぎのようなものがあります.

(1)数値計算が流体工学の研究に有力な手段となりつつある現状を踏まえ,幾つかの話題の提供がされています.具体的に行われている数値計算に関する研究内容を主体に,情報の交換を図っています.

  1. 液体・固体粘弾性体の数値解析
  2. 宇宙・核融合プラズマのシミュレーション
  3. 超並列計算機による数値解析技術開発とその応用
  4. 複雑乱流のLES解析
  5. 確立モデルによる乱流拡散の解析
  6. 乱流のダイレクトシミュレーション解析

(2)流体工学の新分野であるナノ・マイクロ,並びに生体流体力学に関する話題の提供があります.

  1. 呼吸・循環器系や人工知能における流体工学
  2. 動脈内血流を調べるための流体モデル
  3. バイオミメティクスおよび生物の飛行機構
  4. 流体の分子論的相変化機構
  5. 分子気体力学の理論
  6. ナノ・マイクロ流体工学の数理応用

(3)北海道は将来宇宙基地として有力視されています.道内各大学で宇宙工学に関する研究が活発に行われており,話題の提供を通して情報の交換を積極的にしています.

  1. スクラムジェットエンジン内の超音速流れ
  2. 航空宇宙への取組み
  3. 宇宙物理学と流体力学
  4. ロケット推進と流体力学
  5. 再使用型宇宙往還機実現の空気力学
  6. 極超音速飛行体まわりに発生するデトネーション波

(4)実験流体力学においては,新計測技術の開発は極めて重要です.新計測技術に関しての幾つかの話題の提供があります.

  1. 超音波ドップラー流速計の測定法
  2. 3次元PIV計測技術
  3. 画像処理流速計アルゴリズム
  4. 流体計測,解析における落とし穴

(5)北海道のような積雪寒冷地においては,特有の流体工学諸問題があり,活発に研究も行われています.これらに関して幾つかの話題の提供があります.

  1. 寒冷地北海道における流体工学的諸問題とその現状
  2. 寒冷地の建物内外の流れの問題
  3. 流れと雪
  4. シミュレーション解析による防雪柵周辺の流れ観測
  5. 吹雪および着氷害に関する風洞モデル実験の現状と問題

(6)今後の流体工学の研究展望並びに教育に関する幾つかの話題提供があり,活発な情報の交換が行われています.

  1. 未来の流体工学に向けて(北海道からの提言)
  2. 未来の研究テーマを求めて
  3. 乱流制御の最前線
  4. 未来を担う機械屋の育て方
  5. 流体工学の教育に関して

 その他に乱流境界層問題,風力エネルギーの現状と将来,ウォータージェットメスの研究開発,円柱構造物の流力振動等と数多くの話題の提供があります.また来学した諸外国の研究者による話題の提供や国際会議に出席した方々からの研究動向の報告も行われています.
 このように北海道地区流体工学研究会では,これまで多岐に渡る多くの話題の提供がなされ,研究教育活動の活性化,研究者同士の情報交換,そして若手研究者の育成等を目標に活動を行っています(図1).とくに近年研究分野の多様化と細分化が進み,情報の交換が希薄になりつつあります.また北海道の場合には遠距離の地に各大学,高専,企業等が点在しているため,このような研究会を通して一堂に会することは,研究情報の交換上非常に大切なことと思います.今後とも本研究会の果たす役割は益々重要性をなすものと考えています.

 
図1 東洋大学望月修教授による「バイオミメティクス」の話題

更新日:2004.4.26