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容器を斜面でころがす

まずは見てみよう!

どんな実験?

実験手順と種あかし

  • はちみつが入った容器と水が入った容器を斜面でころがして競走させてみましょう。どちらのほうが速いでしょうか。
  • ころがしてみると、水のほうが速いことがわかります。両者の違いは、中に入っている液体の粘性という性質の違いによるものです。
  • はちみつは変形がゆっくりと進みます。ころがすと、中のはちみつは外側の容器とほぼ同じ速さで回転します。回転のエネルギーが大きくなります。回転のエネルギーが大きくなった分だけ前進のエネルギー(運動エネルギー)が小さくなります。そのため、遅くなるのです。
  • 水のほうは変形しやすく、外側が回転しても中はあまり回転しないままでいられます。中身の回転はおさえられ、はちみつにくらべて回転のエネルギーが小さくなります。その分だけ、前進のエネルギーとして使われ、速くころがることができるのです。
  • 粘性という性質は、速く変形するときのブレーキとしてはたらきます。粘性が強いはちみつはすぐには変形が進まず、固体に近い運動をします。容器内のはちみつは外側とほぼいっしょに回転します。
  • 水は粘性が弱く、すぐに変形できるので、外側が回転しても水は外側に近いところだけ回転を始めて内側のほうはあまり回転しないでいられるのです。この結果、回転がおさえられて前進速度が大きくなるのです。
  • はちみつ、うすめ液(水ではちみつを3倍くらいにうすめた)、水で競争させると、粘性の弱い、水、うすめ液、はちみつの順に到着します。粘性が強いほど固体に近く、中身が回転して前進が遅れます。
  • 前に公開した「水と水あめ2」と同じで粘性の強い液体ほど、外側の回転といっしょにまわりやすくなります。
  • この実験動画はJSPS科研費 18K03956の助成を受けて制作しました。
【キーワード】

粘性、回転のエネルギー

【関連項目】

水と水あめ2水と水あめ1

【参考】

石綿良三・根本光正「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P16-21.

石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P24-27、P202-203.

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更新日:2025.12.1