流れ 2001年10月号 目次
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日本と韓国の習慣の共通点と相違点
▲姜 鍋 根 |
私は98年の春に来日して神戸大学の蔦原道久教授の研究室で格子ボルツマン法(Lattice
Boltzmann Method, LBM)の研究テーマに携わりました.それからもう3年半が過ぎました.今まで経験してきた日本の文化や習慣については,韓国の文化や習慣と共通するところもありますが,違ったところも多く発見することができ,大変興味を持つことができました.
日本は,韓国とはとても近くに位置しています.また,同じ東洋文化の中で生活しているので,いろいろな面で,似ている生活様式や文化を持っています.例えば,はっきり「ノー!」と言えないというようなあいまいにお茶を濁す気質は,韓国人にもあてはまると思います.つまり,両国ではあいまいな状況を表す言葉が多く見られます.このような共通点がある反面,両国の間には大きな相違点も見受けられます.
例えば,私たちにとって最も日常的である食事のときには,日本人も韓国人も箸(chopsticks))を使います.日本人は,ご飯,おかず(side
dish),そして味噌汁(japanese soup)などすべてに対して箸を使って食べるのに対して,韓国人は,おかずを食べる時のみ箸を使い,ご飯とか韓国式の味噌汁のようなものはいつもさじ(spoon)を使って食べています[図1].
食事習慣の差としてもうひとつを挙げるとすれば,お椀を持つ方法があります.例えば日本では,ご飯とか味噌汁のお椀を手に持って食べる習慣がありますが,韓国ではお椀を手に持って食べるようなことはしません.お椀はすべて食卓(dinner
table)に置いて食事をします.韓国では,お椀を手に持って食べるような行為は,無作法とされるのです.もし,韓国で日本のようにお椀を持ってご飯を食べたり,箸でご飯とか韓国式の味噌汁を食べたりすると必ず周囲にいるほかの人から注意を受けることになります.
次はお酒の飲み方についてです.一般に日本人も韓国人も祝い事などにお酒を飲むのが大好きな民族であるのですが,そのお酒の勧め方に大きな違いがあります.日本では隣の人の酒杯にまだ酒が残っていても杯に酒を注ぎます.しかし,韓国では隣の人の酒杯に酒が残っていると杯に酒を注ぐことはなく,その杯の酒がみんななくなったときにはじめて杯に注ぐのです.
私がはじめて日本に来て,日本の友達と一緒に飲みに行った時に,この違いに大変驚きました.韓国では,隣の人から自分の杯に酒を注いで貰ったら一気に飲むという習慣があるので,ついつい飲みすぎて他の人よりも早く酔っ払いになってしまった経験があります.
またもうひとつ韓国の酒習慣について話すとすると,相手にお酒を勧めるときに,自分自身の杯に酒をいっぱいに注いでその杯をそのまま相手に勧めるという習慣があります.そしてその杯を貰った人は,その酒を全部飲んでからまたその杯に酒を注ぎ,酒を注いてくれた人に返すのです.しかしながら,この習慣は不衛生だとする考え方から,人に自分の飲んだ杯を勧めるというこの習慣は最近では薄くなってきています「図2」.
今度は服装について話します.
日本には季節を通して全国各地でお祭りがあり,参加する人は着飾ることで賑わいを見せています.もちろん韓国にも各地域にお祭りがありますが,日本ほど多くはありません.どの国においても,自国の伝統的な服装を身に付けている人たちはとても美しいと私は思います.日本では特に,女性の着物や浴衣に大変興味が惹かれました「図3」.
韓国も伝統的な衣服(HanBokと呼ばれています)がありますが,それを着飾るほどの祭りは多くありません.日本人はお祭りや行事を利用して,着物や浴衣を上手く着こなしているなと感心しました.これは私のような外国人の目にはすごく興味深く映るとともに,大変素晴らしい習慣だと思います.
最後に,私の国でも民族独自の伝統的な服(HanBok)を着た人たちが参加するような祭りが多く見られるようになったらいいなと思いました.
以上,私が日本に来て気づいた日韓の習慣の共通点と相違点を述べましたが,こうして両国を見比べてみると,あらためていろいろな習慣の違いに驚かされます.このような習慣の違いから,それぞれの国の文化や歴史について調べたりすることもおもしろいし,価値あることではないかと思います.
どの国でも昔からの伝統的な習慣や生活様式があります.国際化の時代に住んでいるわれわれにとって,他国を訪れる機会は度々あるはずです.そのときその国の文化や習慣をみることになるでしょうし,また,自国の文化や習慣を他民族に見せる機会もこれから多くなるでしょう.ここではその一例として,私の目からみた日本と韓国の習慣のいくつかを紹介しました.今回はこの文章をもとに,私自身が自分の国(韓国)のことについて見直すいい機会となりました.読者の方にとってもこのような両国の習慣の違いを知っていただける機会になれば幸いであります.
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