新型コロナウイルスに負けるな6(小さなものを落とす)
まずは見てみよう!
どんな実験?
実験手順と種あかし
- 発泡スチロール製でほぼ同じ密度の大きい球(直径60mm)と小さい球(直径6mm)、スノーパウダーという名前の発泡スチロール製の細かなパウダー状のものを使って実験します。
- はじめに、大小の球を同時に落とします。すると大きい球のほうが速く落ちます。
- 以前の「大きい球と小さい球2」と同様の実験です。密度がほぼ同じで大きいものと小さいものを比べると、大きいもののほうが速く落ちます。
- これは空気抵抗と重力の性質によるものです。空気抵抗の大きさは、物体の形、大きさ、速さなどによって変わります。空気抵抗の大きさは、流れを受ける面積(前方投影面積)にほぼ比例しますので、物体の大きさ(長さ)のほぼ2乗に比例します(たとえば、大きさが2倍なら空気抵抗はおよそ4倍になる)。
- 一方、密度が均一な物体にはたらく重力の大きさは、物体の大きさ(球なら直径)のほぼ3乗に比例します(たとえば、大きさが2倍なら重力の大きさはおよそ8倍になる)。つまり、物体が大きくなるほど重力は非常に大きくなります。空気抵抗が大きくなるのよりも重力のほうがもっと大きくなります。そのため、同じくらいの密度の物体では、大きなものほど速く落ち、小さなものほどゆっくり落ちます。
- 次に、小さな球とスノーパウダーを比べますが、小さなスノーパウダーのほうがゆっくり落ちます。スノーパウダーのうちより細かな粒子が最後に落ちていく様子からそのことが確認できます。 ・この実験動画はJSPS科研費 18K03956の助成を受けて制作しました。
【注意】 | この実験を思いついたのは、高校物理の教科書で「小さな石」や「小さな物体」を落とすという事例がときどき見られ、気になっていたからです。と言うのは、小さな石ほど空気抵抗の影響を受けやすいので、空気抵抗を無視するという前提と矛盾するからです。同じ密度なら、限りなく小さな物体(質点)の空気抵抗の影響は限りなく大きくなってしまいます。 「大きな石」を落とすのは危険です。また、大きさが非常に小さければ、落下距離を物体の重心から測っても、物体の最下点から測ってもほとんど変わらないという点は確かにそうだと思います。しかし、密度が同じなら「小さなもの」ほど空気抵抗の影響が大きいという感覚は必要です。大きな雨滴よりも霧雨のほうが、落下速度が遅いことからも確認できます。 |
【キーワード】 | 抗力、空気抵抗 |
【関連項目】 | |
【参考】 | 石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、P72-75. |
更新日:2020.8.1