流れ 2003年12月号 目次
― 特集:動力飛行百周年 ―
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模型飛行機とのつきあい60年
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1.まえがき 中学5年のとき太平洋戦争終戦の年(1945)の春まで,平塚の工場で陸軍戦闘機「疾風」(ハヤテ)のプロペラを削っていた.夜勤明けの一眠りのあと,竹ヒゴ,桐板,桧棒,紙で作ったグライダーを宿舎近くの海岸で飛ばし,空襲警報のサイレンが鳴り出して焦ったことを覚えている.ライト兄弟の動力飛行成功のあと40年経った頃から模型飛行機とつきあいはじめ,今に至る60年間よくまあ続いているなと思う. |
2.鯉のぼり いつも鼻づらを竿の先に結びつけられている鯉のぼりも,たまには空を自由に飛びたいだろうと思い,ダクテッドファンを組みこみゴムを動力源にして作ってみた(図1).何年か前にビア樽(図2)にダクテッドファンと主翼,尾翼を取り付けて飛ばしているので,鯉のぼりも簡単に行くだろうと思ったのが大間違い.大分長い間推力増加を期待してファンブレードの形をいじくり回してもらちがあかず,ようやく気がついたのがダクトロスだった.ビア樽のときは胴長がファン外径の1.4倍しかなかったのに,鯉のぼりの場合は3.5倍になっていた.胴の内面は構造部材で凸凹があるので薄紙を貼ってダクトロスを減らすようにしたが改善されなかった. 3.空飛ぶじゅうたん 矩形の無尾翼機で空飛ぶじゅうたんを作ったことがある.ゴムでプロペラを回し発砲スチロールのブロックから削りだしたスヌーピーとウッドストックの小さな人形を乗せて(図4)フワフワ飛ぶ.別に室内用のじゅうたんを作り近くの教会のクリスマスイベントでツリーの周囲を1周半ほど飛び,子供も大人も大喜びしてくれたのは三年ほど前のことである.図5において,はじめはじゅうたんらしくB/A≒0.7にしたかったが,ペーパーグライダーでテストしてみるとB/A<1ではうまく飛ばず,B/A≧1でよく飛んでくれた.鯉のぼりもじゅうたんもB/A≒1.4で作ってある.
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4.双発,四発のスケールモデル スケールモデルで1個のプロペラをゴムで回して飛ぶ飛行機はごく一般的であるが,双発,四発となると少々難しくなる.しかし非常に興味深い対象なので紹介したい. 5.むすび 趣味の場合は仕事と違って納期とコストの制約のないのがうれしい.技術的な面白さは共通であると思う.現役を離れて十数年間,楽しさを満喫しているといったら現役の方々には申しわけないが,とにかくありがたいことである. |