曲がる川の流れの速さ3
まずは見てみよう!
どんな実験?
実験手順と種あかし
- 「曲がる川の流れの速さ2」では、曲がり部では「外側で遅く、内側で速く流れる」が基本ですが、水深、地形、川底の起伏、二次流れ(「曲がる川の二次流れと堆積」で説明)、はく離などさまざまな影響を受けて「外側で速く、内側で遅く流れる」領域ができることがあることを説明しました。
- そこで、曲がり部の各部分でどのように速さが変化するのかをもう少し詳しく実験してみましょう。カラーのコピー用紙をシュレッダーで細かく切ったものを水に浮かべて流れの様子を観察してみます。
- ①曲がりのはじまり付近では、外側が遅く、内側で速く流れます(小学校5年理科の教科書の内容と逆)。②前半45°付近では、やはり外側が遅く、内側で速く流れます。③90°付近では、内側に低速な領域ができて中央寄りの位置で最も速く流れます。これは二次流れの影響によるもので、底付近の流れは川底との粘性摩擦により減速されながら内側に進んでいきます。この流れが内側の側面で水面へと浮上して低速域になるのです。④後半45°付近では、外側と内側の速さの差は明確ではなく、中央付近でやや速く流れます。⑤曲がりの終わり付近では、外側が速く、内側が遅く流れます(小学校5年理科の教科書の内容と同じ)。曲がりの終わり付近では、内側の流れは下流に進むにつれて圧力が上昇し、減速されていき、その分外側の流れが増速します(「曲がる川の二次流れと堆積」の発展を参照)。その結果、外側が速く、内側が遅くなるのです。
- 曲がりの終わり付近では、条件によって「はく離」という現象が起こる場合があります。最後の実験は流量を少なくした場合ですが、曲がりの終わり付近から下流域にかけて内側で逆流が発生します。このような現象を「流れのはく離」といいます。下流へ進むにつれて圧力が上昇するときに起こりやすくなります。
【キーワード】 | 曲がる川、速度分布、はく離 |
【関連項目】 | |
【注意】 | この実験は曲がる川の基本的な傾向を示したものであり、実際の川では水深、地形(曲がりが急かどうか、どのくらいの角度だけ曲がるのかなど)、川底の起伏、流量の変化などさまざまな影響を受けて、違う傾向を示す場合もあります。 |
【参考】 | 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P52-59. 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P60-61. 日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、P136-139. |
更新日:2019.6.1