ニューズレター

流れ 2011年4月号 目次

― 特集テーマ: 流れの夢コンテストの10年 ―

  1. 巻頭言
    (塚原,菊地,久芳)
  2. 夢コンの舞台裏と表舞台あれこれ
    松村 昌典(北見工業大学)
  3. アイデア一本を何十倍にも面白く見せる方法
    村井 祐一(北海道大学)
  4. 尺八の発音と息流ジェットの挙動の観察 〜流れの夢コンテストに参加して
    植松 洋一,鹿野 一郎,高橋 一郎(山形大学)
  5. 流れの夢コンへの挑戦
    望月 修(東洋大学)
  6. 流れの夢コンテストに参加して
    杉本 康弘,佐藤 恵一(金沢工業大学)
  7. 流れの夢コンテストへのチャレンジ 〜参加者と実行委員の立場から
    鵜飼 涼太,長田 孝二,酒井 康彦(名古屋大学),久保 貴(名城大学),寺島 修(名古屋大学)
  8. 第10回流れの夢コンテストに参加して
    早水 庸隆,西田 五徳,丹波 享,石田 憲保,仲田 悟,松田 達也,安田 直幸(米子高専)
  9. 流れの夢コンテストへの挑戦と成果
    渕脇 正樹(九州工業大学)

 

流れの夢コンテストに参加して


杉本康弘
金沢工業大学


佐藤恵一
金沢工業大学

はじめに

 金沢工業大学の流体工学研究室では2005年の流体工学部門講演会と同時に開催された第5回流れの夢コンテスト以来,第10回まで6年間参加してきた(内情を言うと,著者らが世話役として開催するため,参加し始めたことがきっかけだった).近年,大学教育においてアクティブラーニングやPBLが盛んに行われるようになったことも後押しし,本学の工学設計V(4年次の卒業研究に対応する科目)の一部として,本コンテストに参加することをテーマとして提示している.幸いなことに本テーマを希望する学生が毎年数名おり,6年間参加することができた.

  上述のように著者らは参加者の立場と運営側の立場で参加しており,参加者側からの要望や運営側の苦労を経験している.そこで,参加学生への教育効果および運営側での苦労話の観点から感じたことを記述する.

 

第5回流れの夢コンテストの運営について

 流体工学部門講演会と同時開催ということで開催場所や時間の調整に苦労した.多くの来場者を呼び込みたいが講演会と同時開催のためセッション中には集客は望めないので昼食時間にプレゼンテーションを開催し,食堂への通路を会場とすることで多くの方に見ていただけるよう工夫した.

  また,当初,本コンテストはオーラル形式プレゼンテーション(実演を含む)で行われていた.学生の発表機会,学会参加者や学生同士のディスカッション機会を増やすため,第5回運営時にポスターセッション形式に変更させていただいた[1].学会の一般参加者も審査に加わり,盛況のもとに完了することができた.しかし,一般参加者には趣旨が十分伝達できておらず,ただ見た目で面白いものや目立つものが高得点を得ている面もあるようで,テーマに沿っているかなどの観点の採点項目が欠落しているようであった.プレゼンテーション力も重要ではあるが,テーマに沿っていることを前提にし,夢のあるもの,アイディアが良いものをもっと評価してあげて欲しいと感じている.

 

参加学生への教育効果

 本研究室では過去6回参加し,最優秀賞をはじめ,4度表彰を受けている(表1参照).中には機構的にも面白く受賞できると思われるものが駄目だったりということもあった.印象深いのは最優秀賞を受賞したバブルリングである[2].この時もそうであったが,参加学生の活動を見ていると,与えられたテーマに対し,コンセプトを立て,アイディアを出す作業に苦労している.4月から開始し,申し込み期限の7月末付近になっても,まだ明確なアイディアが出せないこともよくあった.学生の取り上げる課題は様々で,本当に夢のあるものを取り上げ,実現不可能という空想的なもの,実現することのみを考え,小さくまとまってしまったものなどがあった.その中で学生は決定した課題に向け,調査,試作,評価・検討そしてフィードバックを繰り返しながら作品を完成させ,動作することが確認できたときの達成感は大きいものだったと考えられる.学生は「アイディアを創出」し,「実際に自分のアイディアを形にし」,「対外的に発表」し,「評価を受ける」という経験を通し,達成感を得ていたようである[3].これがモチベーションになり自分が使用した流体力学的な原理を深く追求し,卒業論文として仕上げることができている.

 

表1 参加テーマ一覧

年度

テーマ

作品

結果

2005

流れのびっくり箱

NARUZOくん

特別賞

流体レベルメータ

2006

エコノミー・エコロジー

e紙創り

アイディア賞

あの靴を洗うのは泡

2007

流れと遊び,学ぶ

泡の輪ンダフル

最優秀賞

2008

夢と魔法の教材

翼学び,翼遊び,翼回る.

渦ォッチ,with (渦) time

2009

美しさと力を求めて

ダンすらいむ

ドリーム賞

渦励振(レーシン)グ

2010

楽しみながら,流れを見る,感じる,理解する

The Power of Rotating Cylinder

強い渦には巻かれろ

 


図1 プレゼンテーションの様子

 

まとめ

 学生への教育効果も大きく,知的好奇心を刺激し,モチベーション向上のためには格好の企画であり,今後とも継続して頂きたく思う.2001年という比較的早い時期からこのような企画に着目し,実施された流体工学部門の諸先生方に敬意を表し,感謝いたします.

 

参考文献

[1] 第5回流れの夢コンテスト開催報告,http://www.jsme-fed.org/contests/yumecon2005/index.html
[2] バブルリングの形成過程の観察(流れの夢コンテストに参加して),日本機械学会流体工学部門ニューズレター 流れ,2008年4月号,
http://www.jsme-fed.org/newsletters/2008_4/no7.html#ctop
[3] SUGIMOTO, Y., SATO, K., and FUJIKI, N., “A Study for Introducing Engineering Design Process into Engineering Design III in Kanazawa Institute of Technology”, Forum on Advances in Fluids Engineering Education, Joint ASME/JSME Fluids Engineering Conference, FEDSM2007-37616, (2007).
更新日:2011.4.1