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流れ 2011年4月号 目次

― 特集テーマ: 流れの夢コンテストの10年 ―

  1. 巻頭言
    (塚原,菊地,久芳)
  2. 夢コンの舞台裏と表舞台あれこれ
    松村 昌典(北見工業大学)
  3. アイデア一本を何十倍にも面白く見せる方法
    村井 祐一(北海道大学)
  4. 尺八の発音と息流ジェットの挙動の観察 ~流れの夢コンテストに参加して
    植松 洋一,鹿野 一郎,高橋 一郎(山形大学)
  5. 流れの夢コンへの挑戦
    望月 修(東洋大学)
  6. 流れの夢コンテストに参加して
    杉本 康弘,佐藤 恵一(金沢工業大学)
  7. 流れの夢コンテストへのチャレンジ ~参加者と実行委員の立場から
    鵜飼 涼太,長田 孝二,酒井 康彦(名古屋大学),久保 貴(名城大学),寺島 修(名古屋大学)
  8. 第10回流れの夢コンテストに参加して
    早水 庸隆,西田 五徳,丹波 享,石田 憲保,仲田 悟,松田 達也,安田 直幸(米子高専)
  9. 流れの夢コンテストへの挑戦と成果
    渕脇 正樹(九州工業大学)

 

流れの夢コンテストへの挑戦と成果


渕脇正樹
九州工業大学

1.はじめに

 2001年に開催が始まった「流れの夢コンテスト」には,2004年の第4回に実行委員を努めさせて頂き,その後,2006,2007年には当時の大学院一年生が参加させて頂きました.基本的には,アイデアから実験,考察まで全て学生に行ってもらい,我々教員はほとんど口出しすることなく進められました.夢コンテストの趣旨は,流れに関する知恵を駆使して,テーマを達成するアイデアと技術力を競うコンテストとなっていますが,個人的には,夢コンテストを通じて研究に対する学生のモチベーションが上がることと,その一方で,修士論文の気分転換になれば,と考えており,それほど結果は重視していませんでした.ただ,学生は,取り掛かると修士論文そっちのけで夢中になっていたのを記憶しています.その結果,いずれの年も賞を頂くことができ,また,その後の修士論文にも全力で取り組んでいたことも記憶しています.

 

2.受賞作品

 2006,2007年の受賞作品の概要は下記の通りです.
2006年:最優秀賞「流体の家」,中喜隆,河野淳,後藤守(図1)


図1 流体の家(バブルに満たされた壁)

 夏場の室内温度の上昇を抑えるための断熱壁の提案であり,二枚の壁間にバブル(気泡)を満たすことにより,室内の温度上昇を抑えられるというアイデアである.壁間に空気および水を満たした場合に比べて,室内の温度上昇は小さく,さらには,壁間にマイクロバブルを満たすと,その比表面積は約8倍になるため,室内の上昇温度は約1/8となる.壁間にマイクロバブルを満たすことにより,室内の温度上昇は抑えられ,建築物の電気料金に換算すると年間約20,000円の冷暖房費が抑えられるエコノミーかつエコロジーな作品である.

2007年:ドリーム賞「流れるパズル」,井村忠継,野見山泰弘(図2)


図2 流れるパズル

 補間用駆動源を用いた擬似的な永久機関の開発とその性能を評価した.具体的には,(1) 回転運動により水を輸送するアルキメデスポンプを用い,水を汲み上げる.(2) 揚水されたアルキメデスポンプのノズルから水を自由落下させることにより,水車の羽根に衝突させ,水車に回転運動を与える.(3) その回転運動をアルキメデスポンプに伝達することでポンプが駆動する.(1) 伝達した回転運動でアルキメデスポンプが再び水を汲み上げる.(1)→(2)→(3)→(1)の流れを繰り返す永久機関のモデルを構築したが,アルキメデスポンプに生じる損失が大きいため,連続的に駆動させることが困難であった.そのため,僅かな温度差から力を取り出すことができ,高効率かつ安全,また大気汚染を引き起こさないスターリングエンジンを補間用の駆動源として用いることで擬似的な永久機関を実現した.

2007年:アイデア賞「流体九九教室」,中村寿昭,山下隆(図3)


図3 流体九九教室

 一桁の積算である九九を手に触れて積算を体験する作品である.1~9までの数字に対応した流路,バルブスイッチおよび流体を注入するピストンから構成されており,数字に対応した流路は管径が異なり,断面積が各数字に対応している.開いたバルブの番号とピストンを用いて注入する流体の体積の積である流量が演算結果として出力される流路に流れ込むことにより,積算を行う.数字に対応する各流路の断面積およびその長さを調整することにより,演算結果を出力させる流体回路である.演算結果が数字の羅列ではなく,ヘッドの高さにより出力されるために視覚的に九九を体験できる.

 

3.おわりに

 いずれの受賞作品も「夢」に近い内容でしたが,各年のテーマ(2006年:エコノミー・エコロジー,2007年:流れと遊び,学ぶ)に沿った作品であったと思います.コンテスト終了後に,参加学生が共通して言っていたことは,「コンテストを通して学んだことは,スケジューリングとチームでの議論」でした.特に,「時間が経つにつれ共に議論が必要と感じ,議論を重ねることで,個々の意識が同じ方向を向き,自然と役割分担が行え,効率的に仕事を進められた.」と言っていたことが印象的でした.修士論文のモチベーション程度にしか考えていなかった私の予想をはるかに上回る成果であったと思います.今後も,「流れの夢コンテスト」に協力させて頂きたいと思っております.また,第1回から第10回までの「流れの夢コンテスト」実行委員の先生方には,コンテストの企画,準備,開催および運営にあたり多大な尽力を頂いたと思います.改めて厚く御礼申し上げます.

更新日:2011.4.1